犯罪集団デモクラット
訝しげに私たちをじろじろ見つめてくる人たち。
「この国の重要施設と言えば何か教えてほしいな」
「重要施設だぁ? そりゃ王城だろ」
「貴族の家もあるわ。あと重要と言えば…ギルドね」
やっぱそれらしかないか。
「だったら、ギルドを破壊してほしい。それも、ド派手にね?」
「ああ。その計画は立てていた。が、まずは教えろ。お前らは何もんだ?」
と、リーダーらしき男が訊ねてきたので自己紹介することにした。
「私たちは魔王軍の幹部。パンドーラ、アレク、ビャク、ワクマロ」
「えっ」
自己紹介を終えるとリーダーの男が不敵に笑う。
「へぇ。魔王軍が俺らをスカウトしようと?」
「そうじゃない。頼み事だ。金は払う」
「スカウトする実力がないってことと受け取るが?」
「実力がどうとか問題じゃない。あんたらみたいな人間は近くに置きたくないだけだよ」
私個人の気持ちがないといえば嘘になる。が、それ以前の問題だ。
裏切りそうなのは近くに置けないだけ。
「まぁ、これはあくまで私たちの独断であって魔王様に聞いてみなきゃわからないんだけど……。スカウトするかどうかは魔王様次第だね」
「なら魔王様の慧眼に敵うよう必死に頑張るとしやすか。で、ギルドの破壊だろう? あれは国が運営し、冒険者が国を守り、商業ギルドが物を流通させ、工業ギルドが物をつくっている。あれを壊せば国が動きかねないということで今まで手出しはしてこなかったが……そこらへんはあんたらバックアップしてくれよ?」
「ああ」
「具体的な日時を決めてくれ」
「早くて今日、遅くて明日」
「随分と急だな」
「ちょっと早く国をどうにかしないといけないからね。破壊した後はすぐに逃げて。多分、国にとっても一大事なことが起きてそっちに注目が行くから」
「了解。なら、明日の昼だ。人員を呼び戻す。明日の昼に実行する。それでいいだろう?」
「構わないよ」
私と男とは握手を交わした。
宿に帰り、ワグマが私に尋ねてきた。
「なんで偽名なんか使ったの?」
「うん? そりゃ、魔王ワグマのせいにされたら困るからね。あくまで私たちは幹部だよ。幹部の独断だから魔王は関係ないってこと」
「えっと」
「あと私やることあるから。あまり外に出ないようにね? たぶんあのギルドの人が外うろついてるだろうしばれないようにね」
「い、今の聞かれてないのかしら」
「さぁ? でも、十中八九聞かれてない。外にはビャクロを置いてるし、外には誰もいないから」
私は窓の外から出ていった。
目指すは王城。やること? もちろんチクるんだよ。この犯罪の事をね?
すぐに裏切る悪役の鑑




