勇者の親救済方法
勇者が住んでいた国はオールランド王国というらしい。
勇者の両親は王城の牢に囚われているんだとか。私はふよふよと浮きながら王都を歩いていた。
「わ、私目立ってませんよね……? 大丈夫ですよね……?」
変装させている勇者がそうつぶやく。
勇者の顔を見た人なんてそんないないだろうし滅多にばれないとは思う。
「大丈夫よ。それより算段はついた?」
「まだ」
ばれないようにするためには騒ぎを起こしてそれに乗じて……っていうのがいいし、そうしようと思っている。けど、今はできない。
洗脳魔法とか使えたらなとは思うが無理だ。
「第一民衆を扇動する時間がないもんなぁ」
クーデターでも蜂起させれば一発で済むんだろうけどな。
うーん。うーん……なにかいい手はないものか。あの時の感染症があればまた話は別になるんだけどそううまく感染させれるわけがない。
いや、正々堂々と真正面から入って奪ってそのまま帰るというのでもいいんだけどそれだと面倒だし余計な戦闘が増えるだけだしな。
「クーデターでも起こそうというのかしら。無理じゃない?」
「だから違う手を考えてるんだけど……時間がないんだよな」
「ふぅん。だったら何か強大な魔物にこの国襲わせればいいんじゃないかしら。そしたら王国はその魔物の対処に追われてしばらくは……」
「それも考えてるけどそんなのどこにいる? 魔王ならそれができるかもしれないけど、魔王が名乗ったら勇者が倒せませんでした、はい親処刑ってことになるだろうし」
「そうねぇ……」
そんな強大な魔物。
封印されているんだとしたら禁書庫にありそうだけど、その魔物がもし魔王領に来た時どうするという話にもつながる。
「……だったら、他の国との戦争……とか?」
勇者がそう提案してきた。
それでもいいけど……。
「今すぐに起こせるわけじゃないしなぁ」
「で、ですよね。出過ぎた真似すいませんでした……」
「謝らなくていいから……。こう、みんなで考えるのも大事だからね?」
「あ、謝ってすいません……」
「謝るのを謝るな!」
勇者気が弱え……。
「……あ」
「ん?」
「そういえばこんな話を王都の街で聞きました。凶悪な犯罪集団がいるとか」
「……へぇ」
「うわ、悪い顔。なんか思いついたのね?」
「ちょっとその集団を詳しく」
「えっと……名前はデモクラットっていう名前で、王国に不満タラタラな人たちが殺人や強盗などの犯罪を犯しまくってるっていう……」
「そうなんだ。アジトとかわかる?」
「えっと……そこまでは。でも、冒険者ギルドはそのアジトを突き止めてて突入するぞという噂を聞いたような……」
オッケー。
とりあえずタケミカヅチ呼ぼう。今回はあいつを使う。




