エレクトリカルワールド
書きたくなったんで書きました。文句は受け付けません。
これは大学生活での話だ。
私はIUOを全くやらなくなったというわけではないが、最近はあるものの開発に忙しくてそれどころではない。
私はテレビをつけながら安いアパート内で作業していた。
『球磨川選手、一本! 素早く仕留めたァーッ! オリンピック優勝目前! 我が日本国の希望の星でありますッ!』
テレビではオリンピックの柔道中継が流れており、その中に白露が映っている。
たしか場所はイスタンブールだったか。
「月乃、パソコンをみててくれな」
「うーん?」
暑いアパート内で私と月乃はテレビを見ていた。つっても私は聞いてただけであるプログラムを構築していたが。
私はギアを被り、月乃を呼ぶ。
そして、ギアの電源を入れると私の視界は暗くなったのだった。
そして、目が覚めると月乃がでかくなっていた。
『なんかパン子が変なもの被って何かしてるけど…なんなのかしら。変なアバターみたいなのが出てきたけど』
「成功! 月乃、私のアバター見えてる?」
『喋った? 吹き出しが出てきたけど…』
「そうなるんだ。成功だね」
私はこの空間を自由に飛び回る。
左下はあるeのマークを押すと背後にウインドウが開かれた。
検索欄のところに触ると文字を打つキーボードが前に現れる。
『な、なに!?』
「月乃ちゃーん。実験成功だよ!」
『実験てなによ!?』
「いやー、私がいるここって電脳世界でさー。そういう研究してたんだよね。ついに成功! 入り込めたよ!」
私は喜び回る。
『え、この目の下にクマがあるアバターってパン子なの!?』
「そうだよーん。意識を電脳世界にダイブさせたんだー。漫画を見て閃いてさ。実際にできないかなと思ってやってみた」
『あんた馬鹿じゃないの!? 戻る時は!?』
「私自身が戻りたいと強く念じれば…」
私は戻りたいと強く念じる。
が、なんか戻れる気配がない。
「…ねえ、ちょっとヘッドギア外してみてくれる?」
そういう風にプログラムしたから多分外したら戻るはず!
月乃は私の顔からヘッドギアを外した。が…。
「やっべ、どっかでプログラムミスってる」
「はあ!?」
「戻れません…。どうしよ…」
「バカじゃないの!? と、とりあえずうちの技術班に見てもらうわよ!?」
「わかった! その間ここを探検してるね」
戻れないならしょうがない。
私は辺りを見渡すとなにやら出口のようなものが見えた。
私はその出口を出る。すると、目の前には無数の扉があった。
扉にはなにやら数字列と名前が書いてある。
月乃携帯、私の携帯…? もしかして移動できるのか?
私は試しに月乃の携帯に移動する。と、話し声が聞こえてきた。
『というわけで頼むわ…。プログラムの解析して…』
『す、すごいっすね…』
『もうバカよあそこまで行くと…』
「バカで悪かったな」
そう呟くと、月乃が「ひゃあっ!?」という可愛い悲鳴をあげた。
月乃は通話を切ったのか切れる音がするとこちらを覗き込んでくる。
『なんでいるのよ!?』
「なんか移動できた」
『もう訳わからないわ…』
「安心しろ。私もわからない」
なにせ初めてだからな。
科学に失敗はつきものだしどういう風なのかもわからん。
「写真フォルダに電話…。うわ、私よりめちゃくちゃ連絡先ある」
『当たり前でしょ…。っていうか私のスマホ操作できるのね』
「みたいね。中の部屋のものは自由に見れるみたい。こえー。こういうの作れる自分の才能がこえー」
『本当に怖いわ…』
「よし、じゃ、白露脅かしてこよ。けけ、あいつイスタンブールにいるから私の今の状態知らないからな」
『やめときなさいよ。いらぬ心配をかけるだけよ』
「いってきまーす」
私は部屋から出て行く。
そして、隣にある白露の携帯という部屋に入っていくと、白露はスマホをいじっていたのか白露の顔がどでかく映る。
『なんだ? この変なの。バグか?』
「人をバグ呼ばわりすんな」
『…人? あ、じんこーちのーってやつ? パン子、いつの間にか私のスマホに入れてたんだな』
「いや、私パン子な。今訳あってこんな電脳世界に閉じ込められててさ。来ちゃった」
『…へあっ!?』
ウルトラマンみたいな声を上げスマホを投げた。
『ま、まま、マジでパン子なのか!?』
「うん。今19歳。もうすぐ二十歳のパン子ちゃんだよ」
『な、なな、なぜこのスマホの中に入っている!? ふぁ、ファンタジーだな!』
「ジャンル的にはSFだね。ま、私がそういうプログラムを開発したわけよ。ま、そのプログラムに不備があって出られなくなったんだけど」
私はその場であぐらをかく。
この空間を例えるならそうだな…。宇宙船の中と捉えてみてもいいかな。
『す、すごいな相変わらず…。その、なんだ。居心地はどうだ? 私のスマホは』
「メニュー表とかガッツリスポーツだらけでちょっと…」
『ぐっ…今度は満足させるような中身にするからな』
「私がツッコむのもあれなんだけど順応早いな」
さてと。そろそろ自分のパソコンの方に戻りますか。
「じゃ、私は行くからな」
『ああ。戻ったら電話くれ』
「わかったよ」
私は部屋をでる。
私はこの空間について考察をしてみることにしよう。
たぶんこの部屋の数は私が登録している連絡先の数だけある。
叔母さん家固定電話、叔母さん、叔父さん、甲地etc…。
連絡先を知らないと部屋には入れないみたいだな。
「…ま、とりあえずこのプログラムはでたらすぐ消すか。怖いし」




