番外編:白夢の成長
私は実家に来ていた。
「おかえりー、眠姉ー」
ソファーに寝転がりゲームをしている妹がいた。
腹が丸出し。髪の毛がだらんと床に着き、女子中学生とは思えない。
私に似てだらしねえ…。
「白夢おば…」
「お姉さん」
「白夢ねーちゃんだらしないよ」
「いいんだよ。夏休み中だしぃー」
そういうと白夢はまたゲーム機に視線を向ける。私はとりあえず白夢のゲームを没収した。
「な、何すんだよ! 返せっ!」
「お姉ちゃんが来たからもてなせ」
「そんなの横暴だ!」
「ってのは嘘で叔母さんが嘆いてたぞ。夏休みの宿題しないって」
そういうと白夢は固まった。
「夏休み、あと何日?」
「…三日です」
「終わってるのは?」
「…ありません」
「やれ」
「はい」
私は宿題なんか1日で終わらせてるぞ。あとで泣きをみるのは白夢なんだからいいんだがこいつの怠け癖は治してやらねーと。
それに、私の妹とは思えないくらい…。
「お姉ちゃん、わからん」
「おいおいおいおいおいおいおい」
私の妹とは思えないくらい頭が悪いのだ。
夜になりやっと宿題を終わったようだった。
というのも、やる気を出さなかったので早くやらせるためにクリアしないとゲームクリアしちゃうぞと言って脅した。
無論、実際に進めている。
「お姉ちゃん! ゲーム返して!」
「全クリしておいた」
「こんな短時間でっ…って、何クリアしてんのー!? 楽しみだったのにいいい!」
「私が脅すだけで済むわけないだろ。そこまで進めてやるから」
「ラスボスとかむずいのになんで一発…」
「ハメ攻撃」
ゲーム歴だと私が先輩だしこの手のゲームの必勝法はわかるんだよ。
「むうううう、むかつくうううう」
「はっはっはっ。さっさとやっておけばこんなことにはならなかったのだぞ?」
「お姉ちゃん嫌いだ!」
「そう? 嫌いな相手からはお小遣い受け取りたくないだろうから…」
「大好き。ありがとう。お姉ちゃん愛してるよ」
変わり身早い奴め。
私は小遣いとして一万手渡した。今の私の貯蓄は億を優に超えているが…。一万くらいはなんともない。
「やったー!」
「小遣いで喜ぶとはまだガキめ…」
私がそう言うと下から声が聞こえる。叔母さんの声だ。
「白夢ー、眠ーご飯よ」
「はいはーい」
「ほら、祐太郎。ご飯の時間だよ」
「あれ?パパは?」
「パパは旅立…」
「勝手に殺さないでくれる?」
と、階段を降りると甲地がいた。
「やっぱ来てたんだ」
「探した?」
「いや、どうせここだろうなって思ってさ」
「ホストクラブに行ってる〜とか考えなかったの?」
「ホストクラブに貢ぐような妻じゃないから」
信頼されてるなあ。
「甲地くんと食べてく? 眠どうせ用意してないでしょ」
「ご名答。ごちになる予定でした」
「あんたねぇ…。ま、いいわ。今日はカレーよ」
というと、カレーのいい匂いが漂ってくる。祐太郎もカレーと聞いてテンションが上がっているようだ。カレー、カレーとはしゃいで向かっている。白夢も白夢でテーブルに走って向かった。
「カレーだぞカレー」
「そうだね。カレーはどこの家も美味しいからなー」
私たちはテーブルに座る。
私は冷蔵庫から生卵を持ってきた。
「生卵でなにするの?」
「カレーの上に落とす」
「美味しいのお姉ちゃん」
「マイルドになって好む人は好む」
というと白夢が生卵を持ってきた。
「いただきまーす」
私は卵とルーを混ぜて食べる。美味しい。ラッキョウのせて、福神漬けも…。
うめえ。
「お姉ちゃん福神漬けちょーだい」
「ほい」
「さんきゅ」
カレーを頬張り、食べ終わる。
祐太郎が小さいスプーンで必死に食べている。まだ7歳だからなー。小学一年だからなー。カレー大好物な年頃だよなー。
「ママの作るカレーと同じくらいおいしー!」
「そりゃそうだ。カレーは誰が作っても美味しくなるんだ」
「これ不思議だよね。料理下手な私でもカレーは作れるよ」
「レシピ見てたら普通に美味しくなるっての…」
花嫁修行も必要だなこいつ…。
「ごちそーさま!」
「よくできました。じゃ、私たち帰るね。これお金ね」
「そんないいのよ?」
「手土産代わりだよ。そんな多く入ってないから」
私は金を置いて帰ることにしたのだった。
白夢も祐太郎もよく育ってる。
告白回のとき驚いていたのでパン子について少し後付けの説明です
パン子さんは選択肢ある問題より選択肢のない問題の方が好みでそちらを優先するんですね…。
告白はイエスかノーかという選択肢があったので後回しにしてしまっただけです。
ただそれだけです




