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悪の魔王の作り方!  作者: 鳩胸 ぽっぽ
悪の正義か正義の悪か
642/648

怪物は悉くを否定する ①

 場は整った。準備も整った。

 今から始まるのは終わりだ。始まりがあるのなら終わりがある。私は終わらせるだけだ。

 私は後ろのワグマたちに問いかける。


「悪いけどこの作戦は私が指揮取らせてもらうよ」

「ええ。いいわ」

「パン子がむかついてるからな。それに、お前らとなら私は誰でもいいぞ」


 ワグマたちはそう答えた。

 その答えに私はニヤつく。そうだ。私はムカついてる。だからこそ、ここまでやるのだ。


「私はアイツの全てを壊す。積み上げてきたものを壊す。さて、そろそろ作戦開始だ。準備はいいな?」


 魔王軍を総動員。王都の門の前で私たちは控えていた。

 ユーマも対策しているかもしれない。だが、そんなちょこざいな罠なんかは私たちには効かない。


「さ、終わりの始まりだ」


 私たちは王都の中に入っていった。






 私、ビャクロ、ワグマ、レブル。そして協力者のタケミカヅチで王城に走り向かう。

 ユーマが生み出しているのか、兵士たちが私たちの行く手を邪魔していた。ビャクロとレブルが切り捨てる。


「邪魔だどけ」

「悪いですが邪魔する者は問答無用で切り捨てさせてもらいます!」


 迫りくる追手をビャクロたちが倒す。こいつらやばいなと思いつつ、私たちは駆け抜けて行こうとしたが…。

 目の前に突然、ドラゴンが現れた。


『勇者の為にもここは通さぬ!』

「初めて見るドラゴンね…」

「私に任せてください!」


 レブルが相手するようだ。


「先に行ってください! すぐに追いつきます!」

『通すか!』

「悪いですけど問答無用で私だけに集中してもらいますよ!」


 レブルが聖剣を振りかざす。

 竜はそちらに対応せざるを得ないようだ。私たちは竜の横を通る。

 すると、今度は戦士風のゴーレムが来た。


「ここは俺がやるよ」

「悪いね」


 タケミカヅチに戦士ゴーレムを任せた。

 私たちは走っていく。来るなというのなら尚更向かってやるよ。

 嫌がる事をすんのが私だからな。


 とうとう王城について、入ろうとすると、門の前にはゴーレム二体が立ち塞がっている。

 ここにもゴーレムが! しかも強そうだ。さすがに三人で…。


「さすがに三人で…」

「いや、私だけでいい。ここはやってやろう」


 と、ビャクロが横から蹴り上げ、ゴーレムを吹っ飛ばす。

 ビャクロは楽しそうだった。私たちは扉を開けて走っていくと、謁見の間の前に一人の男がいた。筋骨隆々だ。


「よぉ、魔王ってのはあんたか」

「お前は誰だ?」

「俺か? 雇われの傭兵だ。名前はヴァルムっていう。ここを通りたきゃ…」

「…私が相手するわ」

「大丈夫?」

「これでも私は強いのよ! いいからあんたはさっさと憂さ晴らししてきなさい!」


 と、ワグマがヴァルムに斬りかかり、ヴァルムは剣で受け止める。


「面白え! 得物が俺と同じたぁな! 実力がモノを言うぜ!」

「ええ、だけど負けるのはあなたよ」


 私はその隙に謁見の間に入っていくと、玉座に座っているのはレオンではない。

 王冠を被ったユーマだった。


「よく来たな」

「来てやったよ」

「ほんと…お前ムカつくことしかしねえな」


 と、玉座に肘をかけて笑う。


「俺が作った国、壊して楽しいかよ? ええ? おい。お前も楽しく過ごしてたんだろ?」

「そうだね。お前が来るまでは」

「なのによぉ…」


 ユーマの顔が変わる。笑っていた表情から、私を睨む目になった。

 私は笑みを絶やさない。


「なんでお前は俺を追い詰めようとすんだよ! お前に何もしてねえだろうがよォ! こんなことする理由はねえだろうが!」

「理由? あるよ、理由はあるよ」

「あぁ!?」

「私たちは魔王軍だよ? それだけで理由は充分でしょ。ね?」


 私は悪の魔王軍だ。だからこんなことも平気でする。信じていたのはお前ら自身だ。勝手に私たちを勘違いしてただけだろ。

 結局魔王は悪なんだぜ。


「殺してやるよ、お前だけは俺の手で…!」

「別に私を殺してもこの国はなくなるよ。私の部下はすでに攻撃を開始している。殺そうが殺さまいが関係ないけどね」


 この国が終わるのは時間の問題だ。


「いいよ。俺はお前を殺したい。ほら、かかってこいよ」


 と、聖剣を振りかざす。

 賽は投げられた。



















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笑う門には福来る!
新作です。VRMMOものです。
読んでもらえると嬉しいです。
― 新着の感想 ―
[良い点] おぉ、最後の戦いだ。 魔王軍が初代国王か、どっちが朝日を拝むのか。
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