怪物の始動
修学旅行から帰ってきた。
私はお土産を乱雑にソファに置き、ログインする。
私は転生の書を確認した。
「多分転生してるはずだ。こんなのが王城にあったんなら使わないわけがない」
あの最初に読んだ絵本。
あれは勇者を正義、悪は魔王として描かれていたが本当は逆だったのだ。魔王領を奪うべく初代国王が魔王領に攻め込み魔王を封印した。考えてみりゃわかる。魔王を封印できるのは勇者くらいだろう。
「ニホン国初代国王が転生してるとしたら…アイツだけだ。この条件に合致するのはアイツしかいない」
だけどそれは今まで一緒に過ごしたのだ。
私は今すぐ王城に向かい、私はレオンに出会う。私はそいつが聞いてる横で転生の書を取り出し、とりあえず魔王城で保管する旨を伝える。
レオンはわかったと言ったのだった。
私は、視線を感じた。
深夜。
私は一人書庫にいると、扉が開かれる。ランプを持った人が入ってきた。
罠にかかった。
私は部屋の明かりをつける。
「やあ、お探し物かい? アデュラン殿下」
「……」
「お探し物はこれかな?」
私は懐から転生の書を取り出す。
すると、アデュランは目の色を変え、私を睨んだ。やっぱりか。
「初代国王…ヒラヤマ・ユーマ勇者だよね?」
「…なぜわかった」
「ヒラヤマユーマの子孫がアデュランだから」
私がそういうとまだ納得できてないようだ。
「子孫ならレオンがいるだろう。なぜアデュランの方だとわかった? 俺が15歳なのを知ってたのか?」
「アデュランの年齢は知らなかったよ。それに、アデュランの記憶がないんだな?」
「ああ。転生成功すると違う人格の方の記憶は引き継がれないんだ」
なるほど、そこは弱点だな。
だからこそ知らないのだ。レオンのことは。
「レオンは純血の人間じゃないからね」
「なに?」
「あれは側室だった悪魔との間に生まれた子だよ。悪魔と人間の子だから純血じゃない。だからこそ容疑者から外れたんだよね。でも皮肉だよねー! 悪魔に生まれた事を忌んでいたのにその悪魔のせいで疑われないんだからさ」
私がそういうとなるほどという顔をしていた。
「それを返してもらおうか」
「嫌だね。人魚国を滅ぼした魔王さん」
「なら力づくで奪い取るまでだ!」
と、アデュランは剣を創り出す。
聖剣っ…! これは私でもダメージ受ける。タケミカヅチから聞いた。聖剣は実体のない敵をも捉える、と。なら私にも有効なはずだ。
「そう? じゃ、奪われないようにしてやるよ」
私はランプの火を手に取る。そして、本の角に火をつけた。
「な、なにしやがんだテメェ!」
「あははっ! ま、目的は達成。倒すべき敵がわかったからもういいよ」
私はその場を後にする。
これから色々とやらなくちゃならない。ニホン国初代国王、ユーマがやったことは決して許してはならない。
だからこそ私は勇者を否定してやる。
ギャーギャー騒ぐアデュラン…。いや、もうアデュランじゃないか。ユーマを尻目にし、私は準備に取り掛かることにした。
やることは簡単だ。魔王軍は魔王軍らしくしないといけない。私はまずワグマに話をつけにいった。
「…あんたもうログインしてたの?」
「うん。倒すべき敵がハッキリした」
「あー、それを考えてたから告白の返事を…。武宮くんすごい落ち込んでたわよ…」
「ごめん。考え出したら止まんなくて」
ワグマとそういう会話を交わす。
私は珍しくちょっと怒っている。自分のエゴのために人を陥れるのは私は嫌いだ。
詐欺師もそうだ。自分さえ良ければいい、自分のためにあるという言葉は大嫌いだ。
だからこそ許せない。
「倒すべきはアデュラン。いや、もうアデュランじゃなくてニホン国初代国王」
「アデュランを倒すの…?」
「そうだ。倒すだけじゃダメだ。私はアイツの積み上げてきたものを壊してやる。全部壊してアイツを地獄に落としてやる」
やるべきことは沢山ある。
「というと?」
「ニホン国を壊滅させる」
感想返信したいけど熱があってちゅらいのでできやせん




