告白
修学旅行4日目の夜。明日には私たちが住む街に戻るのだ。
そんな時に月乃が京都駅の屋上の景色が綺麗って言うから見に行きたいとかほざきやがる。あんたいつでもこれるだろうと思った。
「京都駅屋上でなんかあるの? 告白?」
「……」
図星か。
「誰が誰に告白するかな! 野次馬に行こうってわけだ。ほう、面白い。でも私色恋にはあまり興味ないからなー。私はいいわ」
「ちょ…」
誰かの恋路を見守るより自分を優先だ。
私は部屋に戻ろうとすると、背後から誰かに首元を引っ張られる。
私は思わず立ち止まった。
「な、なにすんだよ白露…」
「私も見たい。付き合え」
「あんたそういうの見たがるタチじゃないだろ…」
「ほ、星と勝負したいんだ!」
「なぜ手に届かない星に勝負挑むの…」
おかしい。
まるで私を京都駅屋上に行かせようとしてるような気がする。
だからこそ帰るって言ったから…。
「私の誕生日…でもないしな。京都駅屋上になんで私を行かせたいの?」
「…いいからさっさと行くわよ!」
「えぇ…」
私は白露に引っ張られ、タクシーに乗せられる。強引な…。
強引に連れて行かれ、一人で待たされていた。二人はトイレに行くつって先に屋上行っててつってたけど…。トイレいくならホテルでしてこいよ。
ったく、寒い。風がちょっと強い。
すると、背後に足音が聞こえる。
「おー、来たかふた…り?」
私が振り向くとそこに立っていたのは甲地だった。
「甲地もきてたの? 野次馬に?」
「違う。パン子さん」
と、甲地は私に近づいてくる。
私の目の前に立った。私は甲地を見上げる。予想以上に身長でけーな。
と、そんなことを考えていると甲地が手を出し、頭を下げる。
「好きです、付き合ってください」
と。
「隙です突き合ってください? なに? 隙でもついて突っつき合いしたいの? ドM?」
「違う。その、ラブ、なほうで」
と、甲地が頬をかいてそっぽ向く。
私はその言葉で理解してしまった。私のことが好き、好きと。
私はその答えに達すると同時に顔の温度が熱くなってきた。
「…ふぇ?」
変な声が出る。
甲地が私のことを好き? 思い当たる節はないぞ。私は元々人に好かれる方だけどそれはライクのほうだ。
異性として好きって言われたことはない。
それに、元々私は恋なんて…。
「ま、ままま、まって。こんな無愛想な女だぞ。付き合ったって…」
「俺は好きなんだ。誰がなんと言おうと」
「いや、私もかわいーけど釣り合うような可愛さじゃないぞ。甲地はイケメンだから引く手数多だろ。なにも私じゃなくたって…」
「俺はパン子さんがいい」
お、男だ…。
私は思わずなんも言えなくなってしまう。私は…。どうすればいいんだろう。
まさかこんなとこに伏兵がいるなんて…。甲地は私の予想以上のことを…。
ん? 伏兵?
「パン子さん、答えを…」
「待って、今ちょっと考え事してる…」
伏兵。
そういえば人魚国を滅ぼしたのは魔王だと思ってた。でも、それは違うんじゃない?
魔王と名乗れば魔王のせいに出来る。誰でもいいはずだ。
魔王の名前を騙って、男の人魚を殺しまくった…。それに、魔王に罪をなすりつけたとなると先代が黙ってるわけないだろう。
あと、日本人。
「もしかして…」
「もしかして?」
「悪い甲地、告白の答えはまた後だ。考えをちょっと纏める」
「え」
私は階段を降りる。
全て謎が解けた。人魚国を滅ぼしただろう人がわかった。
たしかにそうだったのだ。魔王だと思い込んでいて味方側を疑っていなかった。味方だと思っていた。
私たちが倒すべきは人魚国の男を殺したほうだ。それは魔王か?
いや違う。倒すべきは…。
「ニホン国初代国王…!」
私たちの敵はそいつだ。
パン子さん…




