表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪の魔王の作り方!  作者: 鳩胸 ぽっぽ
悪の正義か正義の悪か
630/648

漠然と凶を急ぐ ①

 九月でも暑いもんは暑い。

 私は帰り道にコンビニに寄ってアイスを吟味していた。

 考えごとをするなら甘いものが必須、それにまだ暑さも残るのならば冷たい物を欲する。


 なら何を買うか? アイスだ。


「どれにしようかなー」


 私がアイスの売り場で眺めながら選んでいると、私の頭に何か当てられる。

 横を見ると何やらピストルのようなものだった。


「阿久津 月乃だな?」

「…違いますけど?」

「嘘をつくんじゃねえ」


 と、その瞬間、何かを口元にあてられる。

 私は息を止めるが、そんなに長い時間息を止めることもできない。

 阿久津 月乃つったな。月乃を誘拐して身代金を強請るつもりだったな? マジであるんだなー。

 とりあえずどうにかして脱出しないと…。


 やべ、息が苦しい…!






 ☆ ★ ☆ ★



 夜、私のところに一本の電話が届く。

 

「月乃様ー? 夢野さんって人からお電話ですー?」

「パン子?」


 パン子がなぜ私の携帯じゃなく固定電話に?

 意味がわからないが私はとりあえず子機を使用人から受け取り、読んでいた小説を閉じる。


「なによパン子…」

「あ、眠じゃなくて叔母ですが」

「あ、パン子のおばさんですか? どうしました?」

「眠が帰ってなくて…。なんか知りませんか?」

「パン子が? うちには来てませんけど」

「そうですか…。夜分失礼しました」


 と、私は電話を切る。

 パン子が家に帰ってない? 

 私は疑問に思いつつ使用人に電話を渡すと突然扉が開かれた。開いたのは父さんだった。父さんは何か焦った様子で。


「月乃は帰ってるか!?」

「あら、なによ。いるわよ」

「…え?」

「なに? そのなんでいるのって顔…」

「さっきお前を誘拐したって電話が会社にかかってきてな…」

「……」


 もしかして。

 パン子、もしかして…。


「父さん、多分誘拐されたのはパン子よ…」

「なんだと?」


 そうとしか考えられない。

 パン子は一度家に帰る。遊ぶとしても。制服のままで遊ぶなら連絡入れるはずなのだ。

 もしかして私とパン子を勘違いして誘拐したの…?


「なんで眠ちゃんを狙った?」

「あー…あいつたまに私の名前を悪用して…」

「……」


 自業自得感がすごい。

 が、悠長にしていられない。と、その時、白露から電話が来る。

 私は電話をとると白露は何やら焦っていた。


『月乃! パン子が拐われたらしいぞ!』

「ええ…」

『目撃者によると拳銃を頭に突きつけられて薬を嗅がされたそうだ…』


 拳銃…。

 私はその言葉を聞いて深刻なんだと悟る。ナイフ程度ならまだいいかもしれないが拳銃…。

 

「白露! 顔は見たの!? どこに連れ去った!」

『わからん! 車を使ったみたいでどこに逃げたかわからんが車のナンバーは…』


 ナンバーを聞いたが…。


『封印がされてなかった。あれはおそらく盗難車だろうと父が言っていた』

「なるほどね…。自分の車を使うバカはいないわね」

『ああ。それに、阿久津家を狙ったとするなら単独犯ではないだろうということだ』

「……私のせい?」

『違う。巻き込まれたのはアイツが月乃の名前を使ってたのも一因だ。気に止む必要はない』


 私と付き合っているから狙われたのだ。

 付き合いは選ぶべき、というのはこういうことね…。

 どうする? どこにパン子はいる?


「とりあえず白露! うちに来なさい!」

『わかった。だがあまり()ぐなよ。あんたが焦るとある意味犯人のツボだからな』

「わかってる!」

『本当にわかってるのか? まあいい。私も向かう。ちょうど向かってる最中だ。武宮と一緒にな』


 と、電話が切られる。私はベッドに携帯をぶん投げた。私のせいだ。私と付き合ってるから巻き込まれたのだ。


 もっとパン子たちも用心させなきゃならなかった…! 私だけはされないと油断していた。それが招いた結果だ。

 

「つ、月乃様…」

「なによ」

「ひっ…」

「…月乃」


 と、父が目を細める。


「お前は悪くない。犯人が悪いんだ」

「わかってるわよ!」

「…はぁ。そんなに気に病むならお前が解決したらどうだ?」


 父さんがそんなことを言った。


「相手は拳銃を…」

「人質は生かしておいてこそ価値がある。それに、そう簡単に眠ちゃんは殺されるようなタマじゃない。きっと眠ちゃん自身が拳銃をどうにかするさ」

「…なんでわかるの?」

「眠ちゃんは強い子だからだ」


 父さんはそう言い残して部屋から出ていく。


「…私たちで解決」


 こうなった責任は私にあるから…。やるしかない。














評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。


笑う門には福来る!
新作です。VRMMOものです。
読んでもらえると嬉しいです。
― 新着の感想 ―
[良い点] 題名が歌で聞いた事がある様な気がする(´・ω・`) 生を勝手に使ったのは、自業自得なのはわかる。 でも、犯人も犯人だよ、顔も確認せずに攫うとは……そいつに関わった者は総じて、死ぬよりも恐ろ…
[一言] むしろパン子さんなら口八丁手八丁で延々と時間を稼げそうなのだが・・・情報の裏取りをしっかりしていれば多少は・・・いや、パン子さんが動くから完膚なきまで叩きのめしそう、パン子さんなら誘拐された…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ