夏休み明けの修学旅行の班
夏休みが明け、学校が始まる。
夏休み明けにすぐ修学旅行があり、その班決めをすることになった。二つのところにいくためにクラスで班決めじゃなく、学年で班を決める。
私はもちろん月乃、白露と班を組んだ。男二人に女三人で行動することなのであと男子二人なのだが…。
「パン子さん。俺と一緒に…いかない?」
「ん? あー、いいよ。甲地なら全然」
甲地が誘ってきたのでそうすることにした。
「ちなみに女子は月乃と白露だから」
「わかってるよ。俺も男子一人は誘っておいたから」
「だれ?」
「こ、こんにちは…」
と、甲地の背後からにょきっと出てきた。
天然パーマで髪で目を隠している根暗そうな男子だ。少しばかりぽっちゃりしているのも特徴かな?
「俺と同じクラスの大森くん」
「お、大森 純也です…」
「私夢野ね。気軽にパン子って呼んでよ」
「は、はいパン子さん」
とまぁ、私たちの班は決まった。
私は月乃と白露を呼び、どこを回るか相談をすることにした。
「大森くんはどこがいい? どこいきたい?」
「えっ、ど、どこでも…」
「そう? じゃあまず寺…」
「ちょっと? 寺なんていつでもいけるわよ。食べ歩きでもしましょうよ。金は全部私が持つわ」
「運動ができればどこでもいいぞ」
「みんな意見多いね…」
ふむ、寺はまあいっか。
月乃は食べ歩きしたいというなら食べ歩きでもするかね。
「祇園の方に行く? あそこは甘味処とか意外とあるし」
「そうね。大森くんもいいかしら?」
「は、はいっ」
「そんなびくびくしなくてもいいわよ。こんな悪の帝王みたいな奴がいるからって」
「おい」
月乃さん? 私は悪の帝王じゃないですよ? 正義のミカタなんです。か弱いヒロインさんでいざとなったら力を発揮する主人公みたいな人なんですよ?
それなのに悪の帝王とか失礼しちゃうわねっ!
「悪の帝王だな。それはわかるぞ」
「否定できないね…」
「なんでお前らそんなに私を悪者にしたいの?」
私は何も悪くない! もし悪いとしてもそれは私が悪いんじゃなくて世間が、社会が悪い! 私は悪いことなんて一切ない!
「…ぶふっ」
「大森くんまで…。四面楚歌かよ」
どうやらみんな私を悪役だと思ってるみたいだ。気に食わん。
「とりあえず回るところは祇園と、それと伏見稲荷大社でお祈りだけはしておこうかしら」
「賛成」
「ああ。伏見稲荷大社といえば私も知ってるぞ。千本鳥居だろ」
「と、鳥居は真ん中を歩いてはいけないとか…」
「そうそう。昔から真ん中は神様が通る道だから端っこを通れって言われてる」
多分二人は知らないのか初詣の時にはこいつら真ん中を歩いてるからな。
「そうなのね。一休さんの逆ね」
「一休? 一休ってだれだ? 千利休の知り合いか?」
「えっ」
白露の発言に驚き、私たち四人は思わず白露を見る。イマドキ一休さん知らないの? っていうか、なんで千利休は知ってるのに一休さんは知らないの?
こいつの知識の偏りがひどい…。
「一休さんっていう童話よ…。とんちを効かせてる坊さん。この橋わたるべからずって書かれた看板が置いてある橋を端っこを渡らないで真ん中を歩けばいいって言った人よ」
「ふむ、そうなのか。教科書に乗ってないから知らなかった」
あんたの人生は教科書がすべてなの?
そもそもガキのころ絵本で読んでないのかよ。幼稚園にも置いてあったぞ一休さん。マイナーな童話じゃなくメジャーな童話だから基本誰でも知ってると思うぞ?
「えっと、じゃ、じゃあ回るのは祇園と伏見稲荷大社…?」
「そうなるわね。よし、決まった! あとは修学旅行を待つだけね」
回るところは決まり!




