炎竜の帝王戦 ①
翌日、私たちは島に戻った。
荷物を置き、私は購入したおニューのケータイを充電し、ヘッドギアをかぶる。
ログインし、私は船場に向かうとライアとモルがいた。
「あれ? なにしてんの?」
「えっ、あ、警備です!」
「警備?」
怪しい。
「えっと、噂で聞いたんです! この辺りに最近海竜が住み着いていると…。襲われないために!」
「海竜?」
「はい。海に住むドラゴンさんです。とても巨大で危険モンスターに分類されてるとか…」
「へぇ、後ろにいるのがそうなの?」
「はい! あのような…って、えええええ!?」
ライアは腰を抜かしていた。
船に手をかけている海竜。目つきは鋭いが襲ってくる様子はなかった。
むしろ、こうべを垂れているような、そんな感じがする。
「や、やるんですか! や、やってやりますよ! これでも九尾なんですからね! かかってこいやオラァ!」
「ガァ…」
モルは冷静に威嚇する。でかい翼を広げ、大きく見せようとして威嚇している。モルはドラゴンよりは一回り小さいぐらいだからな…。
だがしかし、海竜は手を出そうとはしてこない。
「え、もしかして襲うつもりはないの?」
私は声を出すと海竜が頷く。
私は船に乗り、海竜に触ってみるもただただ頭を垂れるだけ。
「…私を襲わない理由はなんだ? ライア、なんか知らない?」
「え? あ、いやー、わかんないっす! 海竜はドラゴンの中でも凶暴なはずなんですけどね! はは」
「…私に惚れた?」
海竜は首を横に振る。振られた。
「海王神の眷属だから?」
というと、うなずいた。
なるほどな。海王神の眷属だから襲えないのか。ドラゴンの文献は少ないから生態がよくわからない面もあるらしい。特に姿を滅多に表さないドラゴンは。海竜は見れればレアという感じで出てこないという。
「襲うつもりはない、そう捉えていいよね?」
頷く。
「なら船から足どけてもらっていい?重さで壊れるわ」
と言うと素直に避けて海面から顔を出すだけになった。空は食べないらしい。
挨拶に来ただけのようで、海竜はペコリと頭を下げ、水中に潜っていった。
「ほえー、海竜かー。なるほどなー」
「海王神の眷属って聞きましたよ!? まじすか! そんな偉いお方だったとは…ライアの無礼お許しください…」
「いいよ。それにしても海竜ね。ドラゴンについてなんか知ってる? ライア」
「え? あー、ドラゴンは元々神の使いだーって昔の人はいってたです! 強いドラゴンほど神への忠誠心は高い、とか」
へぇ。でも気になるのはあの日本で襲ってきたドラゴンだよな。あれは私を見ても攻撃していた…。
もしかするとドラゴンには二種類いるのか?
「ドラゴンの起源はわかる?」
「え? あー、わかんないです! でもドラゴンには二通りいて進化するドラゴンと進化しないドラゴンがいるということだけは知ってます! 進化しない方が神の使いと言われてきょーりょくなんですよねぇ。いや、マジで」
「へぇ」
なるほど。ドラゴンは二種類、ね。
あの日本に来たドラゴンは進化するドラゴンの方だったんだ。
ドラゴンってやっぱ謎だな。
「進化するドラゴンも結構やばいの多いですけどねー。例えばグレンドラゴン、とか」
「あー、Sランク指定の」
「あれは危険ですね! 私が住んでいた森を焼き払われました!」
「笑顔で言うことじゃねえな」
ライアは結構お気楽な性格してるなー。
と、その時だった。上空から飛来する影が見える。あれはなんなんだ?
「ライア、あの影は?」
「…グレンドラゴンですね」
「こっち向かってるよね?」
「見たいですね。あ、すいません、私お腹が…今朝食べた木の実にあたったらしく…」
「ライア? わかってるよね?」
「ひいいい!? やっぱ私も戦うんすねえええ!? いやだああああ!」
「海竜には啖呵切ってたくせに…」
私はライアの首根っこを掴む。
ドラゴン戦だ。




