白露の柔道勝負
私たちは何をしているのだろう。
柔道着を着た大人たちと白露。スーツ姿の老年の男性。
「本当に勝てたら取引再開を約束してくれるんですね?」
「ああ、男に二言はないとも」
スーツ姿の老年の男性は月乃の提携会社の取引先であり、取引を打ち切られてしまった(こっちの会社の人の迷惑行為で)ので、どうにかお願いしたいと思って、社長が柔道好きということもありこういう勝負になった。
まずこっちが全面的に悪いのに受け入れてくれる優しさはすごいと思うよ。
「まずは球磨川選手と真島選手!」
と、社長が言うと白露は試合場の中に入っていく。白露は気を引き締めており、真島選手は少し舐めているのかストレッチくらいだ。
だが男の方は筋肉すげーなー。
「俺お前知ってるぞ。超高校級の柔道選手ってテレビで言われてたな」
「ああ。油断はしないでほしい」
「当たり前だ」
うわー、二人なんか気が合いそー。
「では、はじめ!」
一瞬だった。白露が距離をつめ一本背負い。いきなりのことでびっくりしたのか真島選手は対応できず、一本。
白露に旗が上がった。
「おお! 綺麗に決まったなぁ!」
「ふぅ。私はまだ成長しているな」
「社長、うちの白露すごいでしょう?」
と、月乃は嬉しそうだ。社長も嬉しそうだ。
「あんな将来有望な選手…。男相手でも負けない技と気概…。素晴らしい…」
白露は真島選手に手を伸ばす。
「いい試合だった」
「そりゃどうも…。やっぱ伊達じゃないな。俺はお前を応援するぜ」
「ありがとう。私もあなたと戦えてよかった。成長できた」
なんかあそこだけスポーツ漫画してるよ。
私は、スポーツドリンクをこっちにきた白露に手渡した。
「白露さんさすがっすね」
「お前に褒められるとなんだかムズムズするからやめてくれ」
「なんでだよ」
すごいと言うのは本心だぞ。
「だがまあ、強いな。柔道に力を入れてるだけはある」
「白露おつかれー」
さて、本番はこれからだ。
白露はまだ戦わなくちゃならないからな。
白露は見事全員に勝った。
オリンピックに出たことがある人がいたが、苦戦しつつも勝った。
こいつ…マジでやばいよ。
「見事だった! オリンピックに出た選手に勝つとはなかなかのものだ! なぁ!」
「ははは…。俺もまさか投げられるとは思ってませんでした」
「いいぞ! 取引は再開しよう! 柔道選手に悪い奴はいないからな!」
「ええ、そうですね。柔道は皆の心を良いものに…」
と、三人がなんだか浸っているが。
「ねえ、パン子。私ついていけないのだけれど…」
「奇遇だな。私もだ」
この熱意についていけない。
取引が再開したのはいいことなんだが、柔道バカが三人揃うと本当に…。
「球磨川さん! 高校卒業したらうちに来ないかな!」
「えっと、私はまず大学に行くのでその後でもよければ」
「ぜんぜん! 君のような選手は是非ともうちに!」
「わかりました」
あいつ将来約束されたじゃねえか。
プロの柔道選手にも勝った時点でも相当だけど見込まれてスカウトされるって相当だよな。
あいつ自身スポーツはなんでもできるからなー。
「では社長、私たちはこれで。本当に申し訳ございませんでした」
「なぁに、こっちもいい選手を見れたから問題なしだ。またよろしく頼むと伝えてくれ」
「はい」
私たちはそうして会社を後にする。
月乃はまず問題を起こした会社に行かなくてはならないらしい。
私は途中で降りるけど。




