何の情報もない
魔王城にある文献だけじゃ足りないので、アデュラン付き添いの元、王城関係者しか入れない王城書庫に入り浸っていた。
大陸の本や建築関係の本など、ここの書庫にある本はあらかた読みつくしたが、あの建物に関する情報が一切出てこない。
「見つかりましたか? パンドラさん」
「いや、全然」
「何の情報を探してるかは知りませんが…。王城にないともなるとオールランド王国にいくしかないでしょう。あそこの図書館ならば…」
「そこまで行くのも面倒なんだよね」
レオンがせっかく提案してくれたのだが却下。
それに、あの量は一日二日で読み終わるもんじゃない。この王城ですら二日ぐらい要したのだ。あの広さだと一週間以上はかかるとみていいだろう。
「レオン、アデュラン。王城に昔から伝わる言い伝えとか伝説とかはない?」
「そういうのは聞いたことがないな。しいて言うなら財宝伝説ぐらいだ」
「財宝?」
「ああ。とある賢者が山の中のどこかに財宝を埋めたというものだ」
ふむ、それはそれで気になるが関係性がないな。
海と山。正反対だし。
「あ、でも私たちが子供の頃は王城に眠る秘密の財宝っていうのがあるって聞いて二人で王城内を冒険してたんですよ」
「へぇ」
「懐かしいな。何も見つけられなくて母上に怒られたんだっけ」
「そうそう。アデュランが私の母に殴られてでかいたんこぶ作って泣いてたんです」
「ばっ…! そういう兄上こそ擦りむいて大泣きしてメイドさんに笑われてたじゃないか!」
「うぐっ…」
二人は昔話に花を咲かせている。
王城内に眠る財宝、ね。たしかに気になるな。たぶん何の関係もないと思うけど。王城内に眠る秘宝…。
見つけてみたいものだな。
「でも、今となってはあの秘宝はわからずじまいですよ。王城内の構造はすべて把握してありますがどこもおかしな点はなかったです」
「それに、暗号らしきものも見当たらないからあったとしても入る術が分からないしな」
ふーむ。
暗号、暗号ねぇ。たしかに構造的に気になるところもない。至って普通の城だ。紙に現した王城の地図と空から見た王城の形も合致している。部屋数も同じ、不審な点は見当たらない…。
不審な点が見当たらないっていうのが不審だが…。
「もしかするとこの城じゃなくて離宮にあるのかもしれないね」
「あー、あそこですか。ですがあそこも不審な点はありませんでしたよ?」
「そうだな。じゃああれは嘘なんじゃないか? 秘宝は」
「そうかもね」
こうも隠されてるなら…。壺とか壊したらスイッチが作動したりしないだろうか。したらしたでちょっとおかしいんだけど。
この壁にスイッチらしきものもなければ絵画の後ろにもない。
「ま、とりあえずありがとね。情報は何も手に入れられなかったけど…」
「いえ。先日のお礼です。気にしないでください」
「それじゃ、私帰るから」
今日はもう夜遅いのでログアウトして、そのまま眠ることにした。
予め宣告:この作品終わるのは多分今月




