器用な不器用
深夜2時。
私は読書感想文も終わり、することもなくなった。高校生ともなると夏休みの自由研究はしなくていいということなので、私は宿題が全部終わった。
「ま、二人はそりゃ眠くなるか…」
ウトウトとして、今にも眠ってしまいそうな二人。眠いのは私もだぞ。昨日寝てないし。
ま、仕方ないか。
「夜遅くに悪いけど二人を部屋まで連れてってくれる?」
「かしこまりました」
使用人さんに二人を連れて行くように頼む。
残された二人の宿題。また明日やらせるかなぁ。仕方ないし。
でも、それだとつまんないよなー。白露も言った通りせっかく別荘に来たんだから…。
「……」
私は座る。
「しょうがねーなー」
私は、月乃たちの宿題に手をかけた。
本当は良くないんだけどね。二人も遊びたいだろうし今年だけだぞ。
気がつくと朝日が昇っていた。
二時間で月乃と白露の宿題が終わり、そっから二人の読書感想文に手を出していた。
読んでからというと時間がないので、読み進めながら二人が書いたように見せかけるように書いた。
そして、今終わった。
「あー、クッソ眠い。二日間寝てねーしな…」
二徹したのは久しぶりな気がする。
流石に眠いので私はベッドに横になる。目を閉じるとそのまま意識を底に沈めた…。
「…子、パン子」
誰かが私を呼んでいる?
私は眠たい目を擦り、目を開けると二人が朝ごはんだぞと言ってきたのだった。
「朝ごはんいらん…。寝させてくれー…」
「また夜更かししたの?」
「夜更かしは身体に悪いぞ」
「うるせえやい…」
私はまた目を閉じる。
☆ ★ ☆ ★
朝ごはんだと起こしにきたのだが、パン子はいらないという。
せっかく用意したのに…。と思っているとパン子の机の上に私たちの宿題が乗っていた。
「そういや、昨日寝落ちしたのね」
どこまでやったかと思い、私は開くと…。
「あれ、全部終わってる?」
「私もだ。読書感想文も終わってるぞ」
そんなはずはないのよね。私は途中で寝た記憶があるし…。
「まさか、これパン子が全部…」
「だろうな。筆跡が私に近い。ほとんど同じだ。こんな芸当できるのはパン子しかいないだろう」
「…なんか、申し訳ないわね」
「…そうだな。パン子に宿題をさせて…。量が量なだけに時間もかかっただろう」
パン子が朝まで宿題を終わらせたのかと思うとなんだか申し訳ない気持ちになる。
心置きなく遊べるように終わらせてくれたのだろうか…。こういう不器用な優しさが好きなのよね。
「ありがとう。パン子」
「ありがとな」
私はパン子の額にキスをしてみる。意外と恥ずかしい。
「さ、私たちはご飯食べましょう」
「そうだな。悪い、パン子」
私たちはパン子の部屋を後にした。




