別荘に着いた
夏休み、到来!
私たちは月乃の別荘にやってきた。使用人の人が出迎えてくれ、荷物を部屋まで運んでくれる。
私は月乃に景色が一番いい部屋をお願いしておいた。
「すげえ、絵になるな…」
白い砂浜、コバルトブルーの透き通るような海。すごい綺麗だ。
この景色を前に勉強したいなあ。
「パン子! トレーニングルームもあるぞ! すごくないか!? ジム顔負けの設備だ! 少々型は古いがそれでも今でも使える器具ばかりあるぞ!」
「すごいすごい…」
私の部屋にはきちんと勉強机と本棚が設置されてあり、本棚にはさまざまな教科書の類が。
ロボット工学や宇宙学、倫理学などなど…。一冊一冊がとても分厚く、覚えがいがある。
「あんたらが好むものを部屋においておいたのよ。どうかしら」
「さいっこう」
いつのまにか部屋に入ってきていた月乃にそう答える。
一ヶ月も有ればこの参考書や教科書の山は全部覚えられそうだ。遊ぶ時間も含めて考えると…。
「ま、今日は移動に大半時間をかけたしそれぞれ休みましょう。疲れたわ。お風呂はいつでも沸いてるから好きな時に入りなさい」
「はいはーい」
といって、月乃が出ていく。
私は一冊の参考書を本棚から取り出した。今までやってなかった分野がロボット工学だ。プログラムなどは一通り学んだがロボット工学は後回しにしていた。
「さて、やるか」
私は机に参考書を置き、ノートを開く。
今の時代のロボット工学はすごく、IUOや前作A2Oをやるのに必要なヘッドギアの構造なども載っており、すごくためになる。
勉強のコツは何も最初からやるのではなく、興味があるところを最初に覚えるのだ。
入りが難しいと後も難しいんだと思ってしまう。興味あるところからやるのが私なりの方法だ。
「なるほど…。中の配線はこんな複雑なのか…」
そして、夜ご飯。
今日の夜ご飯はスパゲティだ。ミートソーススパゲティ。フォークとスプーンが食卓の上に出されている。
「スパゲティなのにスプーン? なぜだ?」
「ん、こうやってフォークですくってスプーンに当ててくるくるって回して食べるんだよ。あ、月乃、粉チーズある?」
「あるわ。とってきてちょうだい」
と、使用人に月乃が頼んだ。
すぐに私の隣に粉チーズがおかれる。私はミートソーススパゲティにふりかけ、フォークでくるくる巻いて食べる。
「んまい」
「当たり前よ。我が家のシェフは凄腕よ。あ、パン子。私にもチーズを」
「ん」
目の前にいる月乃にチーズを手渡す。
「このチーズが合うのよね。うん、絶品!」
「高級品じゃなくても腕でどうにかなるものだな。市販品とは思えんぞ」
「うんうん。素材がこの島に売ってたものらしいからねぇ。美味い美味い」
スパゲティをあっという間に平らげた。
食後のデザートもあり、今日は星のゼリーということで星形のゼリーが運ばれてくる。
ぷるんぷるんとゼリー特有の動き。
「ゼリーってこのプルプル感がいいのよな」
「そうね。でも、見た目も黄色い…。レモンかしら」
「レモン、レモンねぇ…」
私は一口食べてみる。後ろには作った料理人が待機している…。
うーん、味は甘酸っぱい。レモン…ではないな。この味は私は食べたことないが…。
月乃は味を堪能して、はっと気づいたような顔をする。
「スターフルーツのゼリーかしら?」
「流石ですお嬢さま。スターフルーツのゼリーとなります」
「なるほど…。美味しいわ」
「お嬢さまはなんでも美味しいと言ってくれるのでとても嬉しいです」
うん、結構いけるかも。スターフルーツ自体南国のフルーツだし、季節を感じられる。まさに夏って感じだ。
季節のフルーツを使っているのもなかなかグッドだし、見た目も鮮やかで目で楽しめるし、味もいい。
「至高だね…!」
「パン子が珍しく表情動かしてるわ…」
「それだけ美味しいんだろう。だが、この酸味が疲れてる体によく効くな。酸っぱさで目が覚める」
「そうね」
料理、ベリーグッド。




