表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪の魔王の作り方!  作者: 鳩胸 ぽっぽ
魔王ワグマの治める地
60/648

第二王子の乗り込み

 珍しく感情的になってしまった翌日。

 王国の新聞を一枚くすね、それを眺める。そこにはアストラ子爵のニュースが書かれている。アストラ商会、謎の死という見出しで。

 アストラ商会を経営するアストラ子爵が死んだこと。貴族殺しということで結構な罪ということだった。


 結構な罪というんなら私は既に犯しているし町一つ潰したことで処刑まっしぐらだろうし。今更罪が一つや二つ増えたところで何も変わらないんだけど。

 でも貴族殺しはやっぱり重罪か。子爵っつっても一応は貴族だからな……。


「でも犯人が誰かわかってないのか。目撃者とかいないのかな」


 珍しく感情的になっていた。

 出てくるところを目撃されていてもおかしくはないと思うけど。あんときは周り見えてなかったし。詐欺師ってだけで気が立っていたからな……。いつもこういうことするときは、誰に罪を擦り付けるか考えてから慎重に行動を起こすのが私なのに。

 やっぱりだめだ。怒りすぎたな……。


「王国はアストラ子爵が殺されたニュースでいっぱいなんですねぇ」

「らしいね」

「貴族の連中もきっと騒がしくなっているころだと思いますわ。取り入るなら今がチャンスでしょうけど……」

「だよな」


 一人の貴族が殺されたことで次は自分じゃないか?ということを思う貴族もいなくはないと思う。その弱みに付け込んでその貴族に取り入ることは不可能じゃない。が、そこまでして侵入はしたくない。

 内部からどんどんと潰してくのはいいけど、ゆっくり過ぎる。


「王族に動きはないものかね。第二王子がこちらにくるってことがあったらそれはそれで面白そうなんだけど」

「第二王子……」

「エレメルは会いたくないんだっけ?」

「まぁ……」


 とその時だった。

 エディットが私の元を訪れると、第一王子と第二王子が訪れましたと告げてきた。なんてタイムリーな。







 謁見の間に急いでいくと、第二王子がワグマに剣を突きつけていた。

 第一王子がそれを止めようとして剣を抜いている。


「随分とまぁ、自分で乗り込んで魔王を殺そうとしてきたか」

「アデュラン様……」

「随分と勇者思考の王子様だな」


 アデュランの剣を第一王子がはじく。


「なにをするんだ兄上! 魔王を殺せば俺の地位も上がる! 邪魔をするな!」

「手を出したらダメだ。きっと後悔することになる」

「後悔だ? んなもんするわけねーよ。こんな弱小魔王軍なんか怖くも何ともねえ。兄上、まさかびびってらっしゃるんですか?」

「ビビってるわけじゃないよ。でも……辞めといたほうがいいと思う」

「今殺せるチャンスがあるのにそれを辞めるというのはできねえな! 死ね! 魔王!」


 はじかれた剣をまた振りかざし、ワグマめがけて一直線。

 私は、近くにあった壺をぶん投げて、第二王子の頭にぶち当てた。第二王子は痛さに悶え、こちらをギロリと睨む。

 だけどもう遅い。ワグマに手を出したからには私に喧嘩を売ったのも同じだ。今殺せるチャンスがあるのはこちらにもだ。


「そんなに殺し合いがしたいんならいいよ。私が受けてやる」

「パンドラ!」

「ただし気をつけてね? 私は言わば開けてはならない禁断の箱。それを開ける勇気があるのかってことを……」


 私の中には絶望が詰まっている。ただで死ねると思うな。

 王族殺しだろうが私はいとわない。私には関係ない。













評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。


笑う門には福来る!
新作です。VRMMOものです。
読んでもらえると嬉しいです。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ