終業式の放課後
テストを返した翌日は終業式。
長々しい校長の挨拶をあくびしながら聞いていた。毎度毎度よくしゃべるネタあるよなと逆に感心する。私が校長なら風邪ひくなよ?で済ます。夏風邪って怖いからね。
「今年の夏休みは何すっかなぁ。お盆には墓参りいって、それぐらいなんだよなぁ」
私は休みと言っても特にやることはない。あるとしたら赤ちゃんの世話だろうか。名前は私が名付けた白夢で決まった。
赤ちゃんが生まれて、私も育児をしろと言われると思ったが、今まで迷惑かけたぶん夏休みは遊んでいいってことだ。暇なときに手伝ってくれればいいというので、お言葉に甘える。
そして、終業式が終わり、帰りのホームルームが終わる。
私は校門前で月乃たちを待っていた。
「よっ」
「待たせたわね」
制服をびしっときた二人はなんていうか普通の女子高生って感じがするんだよなぁ。って思いつつ。
私たちは帰ることにした。
「ねえ、二人とも、明日から予定あるかしら」
「ん? 私は特にないな。あってもお盆に両親の墓参りぐらいだし」
「私も特にはないぞ。おばあちゃん家に行くぐらいだが、近場だしすぐに行けるしな」
「ならさ」
月乃は前に出て私たちのほうを向く。
「みんなで私の別荘に行きましょうよ。夏休み」
「別荘?」
「ええ。日本にある島にプライベートビーチと別荘を持ってるのよ。夏はたまにそこに行くのだけど今まで別荘に招待したことはなかったなって思って」
「あー、たしかにないな。夏休みは基本三人自由行動だしな」
白露も白露で自由に過ごして私も私で自由に過ごす、お互いがあまり干渉していないのだ。
「ビーチか。走りこむのにはいいかもしれないな。足腰が鍛えられる」
「んー、いいんじゃない? きれいな景色があったら勉強捗るし」
「じゃ、決まりでいい?」
「いいけど私水着ないよ」
「…準備悪いわねえ。買いにいくわよ今!」
「今からかい…」
ということでショッピングモール。
明日から夏休みということで高校生のお客さんも多かった。
「えっと、なんで俺まで…?」
「いいじゃない。こういうのは男の意見も必要でしょ。別荘に誘ってあげるんだから」
甲地も無理やり連れてきていた。
「いや、俺はバイト入れてるからいけない…。その、いろいろと入用なんだ。大学に行きたいから学費も貯めなくちゃいけなくてさ」
「それぐらい出してあげるわよ。学費ぐらい」
「それじゃ悪いし、他人の金で入ってのうのうと過ごせるほど俺は図太くないんだ」
「あら、うちのパン子は図太いって言うの?」
「ちがっ、そういうわけじゃっ…」
なんでそこで私を出す。
たしかに進学校のお金はうちの叔父さんたちじゃちょっと厳しかったらしく安い公立にいくかもしれなかったけどさ。たしかに高校の学費は全額月乃がもったんだけどさ…。
「その、足りなかったら借りるよ」
「そう。フラれちゃったわね。ま、水着選びには手伝ってもらうわよ」
といって水着売り場にやってきた。
「パン子は胸ないしビキニは無理よねー」
「あんたらみたいな立派なもんついてないからね」
「私は別にいらないんだが。邪魔なんだぞこれ」
「世の中には巨乳になりたいやつがいるってのに贅沢なこというな」
私たちの中では一番白露がでかい。
やっぱりたんぱく質とかきちんと摂取してるからだろうか。
「このワンピースはどうかしら。武宮」
「えっ、あ、いや、可愛い、よ」
「そうよね。でも、なんかこのフリルが気に食わないわね。パン子にフリルは気持ち悪いわ」
「ひどくない?」
「ならこれはどうだ?」
「もろスク水! 別荘いってまでスク水!?」
「機能性重視だ。泳ぎやすいぞ」
「いや、私泳げないってわけじゃないけどそこまで泳ぐの得意じゃないし…。むしろ体力ないし」
もうこの花柄の…。いや、花柄は嫌だな。
「あ、でもこれいいんじゃない? ビキニだけどシンプルだしパン子にいいでしょ」
「んじゃそれでいいよ。会計してくるわ」
「私出すわよ」
といって、会計に向かっていた。
水着ゲット。明日から別荘!




