アルファリアvs頭のおかしい女子高生
ニホン国に入ると、人魚たちは強く目を光らせていた。
無論それは国民もであり、通り過ぎた人は見間違いかと思っているのか必ず振り返る。
「無理にでも馬車を手配するべきだったか…」
「ま、いいじゃん。パレードみたいでさ」
マリが観光したいと強く願ったので歩いて城まで向かっているが…。結構注目を浴びている。
と、そこにワグマたちがやってきた。
「パン子、素材をもらい…って、何そいつら!?」
「人魚」
「随分と可愛らしい…」
ビャクロが可愛いというのはあまり聞かない。ビャクロが珍しく容姿を褒めていた。
「ビャクロも可愛いっていうんだな」
「あ、ああ。あまり言わないな…。容姿で判断するのも失礼だから可愛い、とはあまり言わないようにしているのだが…」
「でもビャクロが言う通り可愛いわね…。私も可愛い方とは思うけど自信無くすわ…」
たしかに人魚二人の見た目は良いもんな。
アルファリアさんは金髪で赤と青のオッドアイで顔立ちは凛々しく可愛いと言うよりかは美しい。
マリさんもマリさんで茶髪のツインテ、顔立ちも少し日本人が入ってるかのような可愛さ。たしかに可愛い。
「はいはーい! 私は人魚のアイドル! マリちゃんだよ〜!」
「私は人魚騎士団団長のアルファリアだ。そこの…ビャクロとか言われているお方は腕が立つと思われる。是非とも一戦交わりたいものだ」
「わかった。水中か? 地上か? 好きな方を選んでくれ」
「我々は地上だと歩けないのだ。悪いが水中でお願いする」
「よし、わかった。水中か。あまり水中で戦ったことはないが…。わかった」
ビャクロは地上戦なら基本負けなしだが水中はどうなんだろうか。
呼吸することで私以外基本水中で呼吸ができないためにこちらが若干不利だが…。
「こちらは呼吸するために水上に上がるときは攻撃しない。それでいいだろうか」
「そういうのはなしでいい。リングはパンドラに作ってもらう。それでいいな?」
「ああ」
「じゃ、今すぐやろう。パンドラ」
と、頼まれたので水の玉をでかくしてやった。空中に浮かぶ水球にビャクロは息を深く吸い込み、中に入っていく。
お互い、真ん中まで行くと、アルファリアは槍を取り出した。
「レフェリーはワグマ」
「ええ!? わかったわよ。じゃあ、二人ともいいかしら」
と、二人に問いかけるとうなずく。
「じゃあ、ファイっ!」
と、勝負の火蓋が切って落とされた。
先に動いたのはアルファリアだった。
水中では人魚であるアルファリアの方が素早く、ビャクロ目掛けて槍をもち突貫して貫こうとしていたが、ビャクロは槍を素手で受け止め、槍を奪いへし折った。
「…あいつ力だけでへし折ったぞ」
「材質ってあれ木じゃないわよね…」
「人魚騎士団は主にデカイ海の魔物を相手しますから、深海鋼という加工も難しい素材で出来てるんです…」
と聞くと、あのビャクロさん進化してません?
水中で腕の力でへし折るって人間技じゃないんですけど。
槍をへし折られたことに驚いて少し怯むが、一瞬で気を引き締め、今度は肉弾戦するようだ。
拳で素早く殴りかかる。
水中なのでビャクロの声は聞こえない。どちらも喋らずに戦っている。真剣なようだ。
「もう二分…。そろそろ呼吸ゲージがなくなってもおかしくないわ」
「状況的にはアルファリアの方が有利なんだけどなぁ」
ビャクロの土手っ腹に一発、アルファリアの拳がめり込んだ。
ビャクロの口から泡がでる。呼吸ゲージがその攻撃で消えただろう。どんどん体力が減ってくのだが…。
ビャクロはニヤリと笑い、その腕を掴んだ。
そして、そのまま首絞めの形に移行し、ビャクロはアルファリアの首を絞めている。
苦しそうにもがくアルファリア。数秒後。
「もういいわ! ビャクロの勝ち!」
ビャクロは力を緩める。苦しそうにアルファリアが呼吸し、ビャクロは急いでこちらに向かってくる。
水しぶきと共にビャクロが出てきた。
「ま、こんなもんだろう」
「あんたねぇ…」
「ん? どうした?」
水中戦は誰よりも得意な人魚なのに水中戦で負けるとは…。
いや、ビャクロが頭おかしいだけなんだけどな。本来は私たちにとっての水中戦は呼吸との勝負なのだ。三分しか呼吸ゲージが持たず、攻撃を受けると一分の呼吸ゲージがなくなる。
呼吸ゲージを増やすスキルだったり、呼吸ゲージを回復するアイテムもあるが…。ビャクロの場合呼吸ゲージを高めてはいないために三分間しか戦えなかったはず…。
なんだろう。ウルト○マンかな?
「我々は水中戦は得意なはずだし地上人に負けるとは思っていなかった…。呼吸ができる分我々の方が有利だと思っていた…」
「いや、実際そうだよ。こいつが頭おかしいだけで」
「そう! なぜあの槍をへし折るのだ! 力おかしいんじゃないのか!?」
「あれは硬かったぞ。あれでも結構スキルとか上乗せした」
上乗せしてアレですか?
「ビャクロ、ほんっとお前頭おかしいな」
「褒めてるのか?」
「褒めてる」
もうこいつと対面したくねえなあ…。正々堂々と勝負するなら絶対負けるんだよなあ。




