人魚が地上に?
私たちは地上めがけて泳いでいく。
「魔物に襲われないですね? 不思議です」
「あ、私がたぶん海の魔物を惹きつけないからだと思うよ。みんな素通りしてくでしょ」
「なるほど…。そろそろ光が見えてきたということは」
「地上だね」
そろそろ地上につくころだった。
海面から顔を出すと船が一つ。王国の紋章が描かれた船で、アデュランがこちらを覗いている。どうやら迎えに来たようだ。
「パンドラ! 何か収穫はあったか!」
「大いにあったよ。船に乗せてくれ」
「わかった」
と、はしごを下ろされる。
私は二人を水魔法で包み、はしごをあがっていく。
「…一つ聞いてもいいか。その二人、は?」
「人魚」
「…収穫ありすぎるだろう! 人魚が本当に生息していたのか!?」
「うん」
二人に視線をやる。
「その、人魚騎士団団長のアルファリアだ」
「みんなのアイドル! まりだよ~!」
と、二人が自己紹介。
「あ、その、ニホン国王弟のアデュラン、だ。はるばる…人魚騎士団? 騎士団があるということは、国があるのか!?」
「うん。マールダウンっていうらしい」
「…海底は私たちも知らなかった。国が栄えているとは…」
「驚きだよねー」
一方人魚の二人も結構テンションが高く、二人して人間だと騒いでいた。人間ですよ。
「あの、私らからも質問いいだろうか」
「な、なんだ?」
「人間は何を食べているんだ? 私らは魚、海藻などを主食としているが…」
「あー、もうそろそろ昼だからご飯が出される。食べてみるか?」
「食べます~! わーい!」
「し、失礼。いただこう」
と、私は水の玉を操作し、船の食堂に向かう。食堂に座り、アデュランが取りに行こうといったので取りに行く。
メニューは鶏肉の照り焼きに野菜のサラダとスープ。スープは野菜がゴロゴロ入っており、赤い。ミネストローネスープみたいなものだ。
満腹度も減っていたしちょうどいい。
私たちは席に戻り、料理を置き、アデュランがもう二つ頼んでいたらしく、あいよと料理人さんが言うと、すぐに出された。
人魚を包む水の玉を解除した。人魚は呼吸出来ているようだ。
「なんだこれは!」
「いいにおい~…」
「た、食べていいのか? 食べられるのか? こんなシャキシャキしてそうなもの…」
そうか。海藻だから基本ふにゃふにゃか。野菜って言うのはあまり知らないだろうなー。
二人は恐る恐る口に運んで、そして、手が止まる。
「お、美味しい…。このシャキシャキとした食感がまたいい! このなんかも美味い!」
「それは鶏肉な。鳥の肉だ」
「トリニク! 魚と違って焼いても歯ごたえがある!」
二人は料理に感動しているようだ。
二人は照り焼きをあっという間に食べ終わり、気が付くとすべて平らげていた。
「ふぅ。食べた。満足だ」
「ならよかった。さて、船はもうじき出港するらしいがどうする?」
「ついていく。人間の国が気になるからな」
「私もついていきます!」
というので、二人をニホン国にまず連れていくらしい。




