海底都市マールダウン ②
私はこの国を知りたい。
「先程は無礼を失礼した。私は人魚騎士団団長のアルファリアだ。アルとでも呼んでくれ」
「私パンドラね。パンドラ」
「失礼をしたお詫びと言ってはなんだが、国を案内させてもらいたい。いいだろうか…」
「あー、いいよ。ちょうど気になっていたし」
海の中にある都市。私は存在すら知らなかった。もしかしたらあるかもしれないなあとは思ってはいたが幻想みたいなものであったがために予想外。
きちんと整備もされてるし法律もありそうだ…。
「まず、大雑把なことを説明しよう。ここはマールダウン王が治めるマールダウン王国だ。人魚の世界も人間と同じさまざまな国がある…。というのはいいだろうか」
「ここだけじゃない…ってことか」
ここだけじゃなく他にも人魚の国は存在する。夢が広がるな。
だがしかし、不思議なのは…。
「人魚って何食って生きてんの? 野菜は育てられないし動物の肉はないしここら辺海藻はないし…」
「海藻は栽培しておりますゆえ。ここは水圧が低く海藻や普通の魚も生息できる環境。食生活は魚と海藻がメインだ」
「なるほど。水圧が低いのか…」
まだ気になることはある。
「ここは太陽が届かない深海なのになんで太陽が見える?」
「メルセウス様の計らいで擬似的な太陽だ。地上に見える太陽となんの変わりもないそうで…」
「へぇ」
「ここは朝もあるし夜もある。人間の国と大して変わりがない」
太陽が昇ったりおちたりするわけか。昼夜もあって…。季節はあるのだろうか。
「季節はあるのか?」
「季節?」
「ああ、わかった」
季節はないと思っていいだろう。
「天気が変わることは?」
「てんき?」
「ないのか」
「天気がなんなのかはわからないが太陽が昇ってる時は隠れることがないぞ」
ほー…。基本ずっと晴天か。水中だから干ばつの心配はないだろうが…。それに、温度はあまりなさそうだからな。あと擬似太陽は…。
なるほどなるほど。興味深い。
「聞きたいことは以上。この国を案内して」
「わかった」
まずは大通りを案内してもらうことになった。
さまざまな店が並び、服屋もあれば飲食店もある。が、気になるのが…。
「全員女性?」
「人魚は女性しか生まれない。人魚は全員女性だ」
「…子孫とかどうするんだ」
「同性でも生殖は出来る」
「なんつー便利な体!」
となると性別は無問題なのか。謎が深い…。謎多き生物だ。クマノミなんかは性転換するというがそれと同じなのか?
となると…人間と同じように突起物を…いや、なんでもない。
「アルファリアさん何してるんすか?」
「いつものようにぬいぐるみ買わないんですか?」
と呼び止められていた。
アルファリアさんをみると顔を真っ赤にしている。案外可愛いモノ好きなんだなー…。
「こ、この方の前でやめてくれ!」
「可愛いモノ好きなんすね」
「ぐう!」
何この生物。カワイイ。結構堅そうな人に見えてカワイイモノ好きとかベタだけどカワイイ。
そのギャップに思わず吹き出してしまう。
「つ、次だ。大通りの後は職人街だ」
といってむかうと、今度は煙突からもくもくと煙が。煙が出てるってことは火が出てるってことだけど水の中で火って大丈夫なのだろうか。
私が疑問に思っていると、アルファリアさんがとある工房の中に入っていく。
「おー、アルファリアさんかい。また武器の注文かい?」
「…水の中じゃない?」
「魔法技術でな。ここでは水の中じゃないんだ」
「でも人魚って水の中でしか生きられないのでは? 足が生えるわけでもないし…」
「だから人魚は通る時にこの浮き輪をつけられるんだ」
と、アルファリアさんの周りには浮き輪があった。それも空気で包まれたような。それでふわふわ浮いている。
なるほど…。
「なるほど…。技術がいろいろ謎だな」
「人間よりは魔法技術が進歩している。悪かったな。紹介するためだけに入ったんだ」
「冷やかしかよー。冷やかしは帰りな」
「悪かった。また頼むぞ」
といって、工房を後にした。
「…さて、もうそろそろだな。広場に向かおう」
と、ニヤついたアルファリアさんだった。
ちょっと内容しゅーせいしました




