スキルを求めて
私みたくならなければいいなと願う今日この頃。
私はゲームにログインし、昨日のダンジョンの攻略をしていた。
前回行ったところまで潜り、この先を行くのだが。
「このダンジョンってどこまで続いてるんでしょう。地上の光が見えなくなってきましたね」
「まずダンジョンなのに日光が届いてる時点でおかしいが…。確かに深いなあ」
後輩二人がそうぼやく。
たしかに結構な深さ潜ってるのに一向にボスの部屋まで行けないというのが厄介だ。
私たちはずっと下に向いて泳いでいる。私はライトの魔法を使い、深海を照らす。
「やばっ!」
「ま、まって」
「ぐっ…」
と、後輩二人とビャクロが何かに気づいたようだ。
ワグマも気づいたらしい。
「やばいっす。体力が削れてます」
「わ、私も…。呼吸はできるけど…」
「ああ。私もだ。これ以上潜り続けていたら私たちは死ぬぞ」
「私も少しだけど削れてるわねえ」
と、四人体力が削れているらしい。
私は自分の体力をみるが減ってはいない。なぜか。もしかすると…。
「深海だからか?」
深海は水圧が強い。並大抵の人はぺしゃんこになるかもしれない。この深さだと。
となると、ダメージを受けるのは当たり前か。私だけが受けないのは私は海王神の眷属だからだ。適応できて当たり前なのだ。
「となると、深海専用の装備がいるのか。それか種族とか」
「種族は変えられないですよぉ…」
「そうす!」
「となると装備か…」
水圧に耐えられるような装備を…。
「やば、死にかけ! 私は地上に向かいますね!」
「私も行くぞ」
「俺も行くっす!」
「んー、私はどちらでもいいけど…」
ワグマはそれほど減ってはいないらしい。防御力で受けるダメージが決まるのかもしれないな。防御力がこの中で一番高いワグマだから耐えているのだろう。
だがしかし、ダメージを受けてるのも事実だ。
「戻る時間も考えて行かなくちゃいけない。ワグマは戻りなよ」
「パンドラ一人でいくの?」
「行けるの私だけだしそれでもいいけど、みんなで行きたいなら別に私も戻るよ」
「うーん、戻りましょう。一人は危険だわ」
というので戻ることにした。
水圧に耐えうる装備は聞いたことないがとりあえずクレイジークレイジー行ってみよう。全然行ってなかったけど。
クレイジークレイジーに入ると、忙しなく動いていた。
有名どこのプレイヤーも来るようになっており、忙しそうにマクロさんが指示を出している。ジンさんもリーゼントヘアーで接客していた。
「マクロさん、恋の調子ど」
というと、こちらに勢いよくやってきて口を塞ぐ。
「ば、ばかっ!」
マクロさんはジンを見て気付いてないと判断したらしく口から手を離す。
「また来たのね。いらっしゃい」
「ええ。二人の仲がど」
「……」
「すんません、もう茶々入れないっす」
マクロさんに睨まれてその剣幕に負けた。でも元気そうで何よりだ。
「繁盛してるみたいっすね」
「そうなのよ。ネットの掲示板で話題になってそっからね」
「まあなによりです。それで、水圧に耐えれるような装備ないですか?」
「んー、水圧ねぇ。それがないのよー。たまに来るのだけど水圧無効というスキルは見つかってるのだけど素材が素材で」
あるにはあるらしいが素材がないらしい。
「水圧無効にするためには一度水圧のかかる深海に行かなくちゃならないの。それも結構奥深くで私たちは行けないのよ」
「種族選ぶときもなぜか海に関する種族は見つからなかったような気が…」
運営はどうやって取りにいかせるつもりだったのだろう。
とまあ、やることはわかった。
「私が行くしかないか…」
「あら、行けるの?」
「種族の関係でどんな海でも泳げるらしいんすよ。水圧とか私には効かないっぽいんで」
「ありがとう! たくさん拾ってきたらサービスするわね! これ素材のリストよ。お願いね! 場所はアクアマリン大陸とギャラクシア大陸の間のグランデール海溝よ!」
海溝、海溝か。結構深いだろうな。そこを一人で潜るのか。




