二人の後輩
今日の事にちょっと怒りを覚えつつログインする。
「私も偉そうな後輩が柔道部に入ってきたから投げてやったぞ」
「私は逆に付き合いをしたいと思ってる社長令嬢が来たわ」
と、二人もどうやら後輩に絡まれたようらしい。
で、つっこまないでおいたんだが。
「その二人は?」
「ああ、その後輩」
「なるほど…ってなるわけねえだろ!?」
ビャクロとワグマの隣には女子と男子が立っていた。男子の方はビャクロに従うような感じで動いており、女子の方もなんだか心酔してるような感じがする。
ためしに…。
「ビャクロとワグマのバーカ」
「おいお前先輩に向かって何をっ…!」
「失礼ですよこいつ。やっちゃいましょう」
二人がこいつらより喧嘩っ早い!
ワグマが女子を、ビャクロが男子を止める。今にもどちらとも殴りかかってきそうな雰囲気だ。なんだこいつら。ワグマたちがそんな偉いのか? いや、偉いんだけど…。
うーん。こいつらに比べてあの青山ってやつはなぁ。
「お前らはいい後輩ができたな。こっちは青山ってやつがなぁ」
「青山ってあの青山ですか?」
「知ってるの女子Aちゃん」
「女子Aって…。私はイルマーです。現実では入間 美優です」
「イルマーちゃん知ってるの?」
「同じクラスですから。なんていうか、近寄りがたくて私たちを見下してる嫌なやつですよ。自分が首席合格したからって何を偉そうに…」
「青山ってやつがどうしたんだ?」
「いや、喧嘩売ってきたから入試問題でテストを一緒にして満点とって現実を知らせてやったんだけどさ」
私が珍しく二人に愚痴を吐いた。愚痴をあまり吐くほうではないが、さすがに青山の行動は見過ごせん。仲良くもない奴に呼び捨てにされたくもないし、見知らぬ奴にため口使われるのも気に食わん。礼儀というものをわきまえて話すべきだ。私が言えたことじゃないけど。
「ああ、パンドラの同類?」
「ちょ、なぜそうなる!?」
「だってあんたも世の中舐めてんじゃない」
「舐めてないっての!」
「舐めてたとしてもこいつには相応の実力があるだろう。同類ではないはずだ」
と、ビャクロが擁護してくれたのだった。
「ま、それもそうね」
なんか同類だって思われたことが嫌なんだけど。
私は滅多に人を嫌わないのだが、流石に嫌いになるぞあんな態度とられたら。嫌がらせされてもやり返すだけで嫌いにならないのが私だが…。あれはなぁ。
まず学力どうこういう前に礼儀を学んだほうがいいって感じだよな。
「ま、どんまいってことで。パンドラ。ダンジョンいくわよ!」
「いきなり?」
「ええ。あの聖杯があるでしょ? 前に水中にダンジョンを見つけてたのよ。でも呼吸がなぁという問題があったのだけれど聖杯で解決するわね」
「ああ、全員が水中呼吸が可能になるってやつね」
たしかにこの聖杯があれば水中も探索できるから探索できる範囲は広がるか。
「イルマーたちも来るのかしら」
「無論お供します!」
「僕もします!」
元気がいいなこっちの後輩は。




