液体を生成できる聖杯
イベントがどうやら終わるらしい。
私たちは私のダンジョンでその告知動画を見ていた。聖杯などの神の食器を最後まで手に持っていたものが勝ちらしい。
私は自分の聖杯を取り出す。自分のものだからしまえるようになった。
『食器を手にしている人の目の前には食事が出るでしょう。それをお食べください』
と、その時、私の目の前にはサラダが出てきたのだった。イタリア料理のカプレーゼ。トマトとモッツァレラチーズを一緒に食べるアレな。
で、聖杯の方を見るとぶどうジュースが湧いていた。
『出てきた料理をお食べください』
というので、トマトとモッツァレラチーズを一緒に口に含む。
うん、普通に美味しい。どっちも美味さを引き立てるなー。至福ぅ。肉とかがっつりしたのもいいけど、こういうものもいいよねぇ。
私は味を堪能していると、なにやら聖杯が光り始めた。
「飲めってことなんじゃないの?」
「そうだろうな。くぅ、羨ましい」
「美味しそうだね…。これなんて料理?」
「カプレーゼよ。イタリア料理。一般的な料理よ」
私は聖杯に口をつける。
そして、ぶどうジュースを流し込んだ。うん、ブドウの芳醇な香りがいいね。百パーセントのぶどうジュースは美味しい。
《メルセウスの聖杯がパンドラを主と認定しました》
というアナウンスが私だけに聞こえてきた。
主と認定、ねぇ。まさか喋るのか? いや、喋るのは怖いからやめてほしいが。
《スキル:メルセウスの海を使えるようになりました》
「メルセウスの海?」
何のスキルだろう。
私自身結構スキル持ってるがこんなスキルはわからない。
「ワグマ、鑑定してみて」
「ん? わかったわ」
と、ワグマにメルセウスの海というスキルを見せる。
「味方全員水中呼吸を可能にする。また、毒(液体)などの液体すべてを創り出すことができる…」
「ほう」
「ぐらいね。ただ、そのスキルは聖杯を所持していないと使えないらしいわ」
「ならずっとしまっておけばいいんだな」
私はカプレーゼを平らげる。
結構なお味ですね。私は聖杯を取り出し、とりあえずリンゴジュースを創る。リンゴの果汁だけってできるのかしらと思ってると創れた。
私は飲み干す。
「なあ、それって味噌汁とかできるのだろうか」
「…聖杯の味噌汁?」
「なんか口につけるのもちょっとためらうお味噌汁だね…」
ビャクロの疑問に答えて見せよう。
「そうだなぁ、じゃあとりあえず豚汁」
と創ると聖杯がお椀型に変化し、ジャガイモがごろごろ転がり、豚肉やたまねぎがふんだんに入っている豚汁が出てきたのだった。
私たちは絶句する。
「できるんだ…」
「…飲む? ビャクロ」
「あ、ああ」
ビャクロは聖杯に口をつける。
「味噌がちょうどいい。普通に美味しいぞ」
「え、ええ…」
ビャクロが味噌汁を全部飲んだのだった。
「液体、液体ねぇ。猫は液体だとかいうよな」
私がそういうと。
聖杯が変化し、聖杯の中からにゃーんと聞こえてくる。私は思わず聖杯を下に向ける。
「い、今にゃーんって聞こえたよな!? な!?」
「…猫は生物よね」
「液体では、ないな」
「お、俺らの聞き間違いだよ。うん、空耳だ」
私は聖杯を持ち上げると、子猫がたたたっと走っていった。
「…見なかったことにしよう。パンドラさん、ワグマさん、ビャクロさん」
「うん、そうね。そうね…」
「バグだ。うん、きっとバグ…」
「どこまでが液体なんだろうな」
それは疑問があるがヌコさんでてきたじゃにゃいっすか! もうやめますにゃ!
勝ったッ!この章完ッ!




