スケート
白露が退院し、私たちはほとんど毎日営業しているスケートリンクにいくことになった。私まで何で参加する必要がと思ったが白露が壊れているために仕方ない。
白露は意気揚々とスケート靴を履いていた。
「月乃はあるのか? スケートの経験」
「それなりには。パン子は…?」
「ない」
私もいちおうスケート靴を履いて、リンクに入った。
その瞬間、顔面から転ぶ。盛大に転んだ私は貸し切りのスケートリンクをつつーっと滑って真ん中までに辿り着いた。
いってえ。だから嫌なんだよ!
「パン子が先にいったわ! 後に続きましょう!」
「は、鼻おかしくなってそう! つべたい! 絶対凍傷なってるって!」
「大丈夫だ」
白露がスケートリンクに入ってくる。
流石と言わんばかりか、すぐに立ち上がれていた。月乃も慣れたようにすいーっと滑ってくる。私も立ち上がろうとした時、うまく立てずに…。
「おわっ!」
「パン子がまた転んだ!?」
「だから私は運動ダメなんだってェ! ちょ、立てない! 立てないのにスケートリンクの真ん中とか最悪なんだけど!? ヘルプ! ヘルプミー! 誰か私を助けて! ここから私を連れだして! 切実に!」
「しょうがないな」
と、白露が慣れたように滑ってくるが…。
「白露! スピード出しすぎ…」
「あ、止まれねえ!」
「ちょ、スケート靴の先っぽこっち向けるな! 危険なんだって! 死ぬから!」
白露がブレーキをかけたが間に合わず、間に合わないどころか思いきり転んでしまい、転んだのが私の近くで、白露もこちらに向けて滑ってくる。
スケート靴の先っぽが私の腹部に当たり、私は蹴り飛ばされるかのように壁まで押されると、壁に背中が激突した。
「危ないわよ! スケート靴の先っぽは本当に危険なんだから! これは病院行かないと…」
「だ、だいじょぶ…」
「…パン子って運動苦手な割には結構体頑丈すぎない?」
「涙が出てくるほど超いてえ…」
「あのスケート靴の刃が当たったって言うのになんで怪我の一つも負ってないのかしら…」
痛い。超痛い。
白露のせいで服が破けていた。私のお腹がむき出しになっており、少し赤くなっている。血は出ていないが……。
私は壁に手をやり立ち上がり、リンクの外に出る。
「見学してまっす…」
「それがいいわ。むしろあれで刃が服だけしか斬らなかったのがおかしいのよ…」
昔から体だけは頑丈らしい。
小さいころ誤って三階から転落したことがあるらしいけど無傷でけろっとしていたっていう嘘か真実かわからないことがあったらしい。私は覚えてない。
痛くても泣かないし、それどころか笑うっていう子供だったらしいので今となってはちょっと不気味。
ほんと、今日は災難な日だ…。
無駄に頑丈なパン子さん




