スイーツビュッフェ
後日、パーティで迷惑かけたお詫びということで苑木くん、吽神さん、月乃、私でお茶していた。
有名ホテルでやるスイーツビュッフェ。数々のスイーツが目の前にある。
「ちょっと姉さん、食いすぎっすよ。また俺がダイエットに付き合わされるじゃないっすか」
「大都会に来たからにはね~」
げ、見たくもない人たちがいた。
あちらも私に気づいた。
「なんでここであんたに出会わなくちゃ…」
「それこっちのセリフ…」
私の姉ちゃんと巽さんが仲良く来ていた。
「知り合いか?」
「姉ちゃんと、その彼氏」
「うっす、巽 明彦っす」
「沖です。うちの妹と仲良くしてくれてるんだ。こんな馬鹿みたく知恵つけたクソガキと」
「私がクソガキなら姉ちゃんはクソババア?」
「あん? やるかおい」
「巽さんの性格受け継いで喧嘩っ早くなってません!? 責任とってくださいよ巽さん!」
私は巽さんに助けを乞う。
巽さんは姉ちゃんを引きはがした。
「ほら、早く食べましょうよ姉さん」
「ぐ…覚えてろよ眠てめえ!」
「忘れてなかったらね!」
と、席に戻っていった。ふぅ、助かった。
「案外アグレッシブなお姉さんだな…」
「怖いのなんのって」
私たちはスイーツビュッフェを楽しむことにした。
私はスイーツとしての好みは一番はキャンディなのだが…。うーん、ここはパイを攻めるか。イチゴパイに、チョコパイ、定番のアップルパイにパインパイ。
どれも甘そうで美味そう…。
「ショートにー、チョコに―、モンブラン! ロールケーキにオレンジケーキも!」
「ま、魔子。そんな食べて大丈夫か?」
「大丈夫! でも苑木くん、あまり食べなさそうね」
「俺甘いの苦手なんだ…」
「じゃあ苦手を克服しましょう! スイーツ王子のほうが人気出ますよ!」
「い、嫌だよスイーツ王子になる気はないっての! あ、ちょ、話を聞けー!」
ずいぶんと後ろの婚約者たちは楽しそうにしてるな…。
「抹茶系攻めようかしら。ティラミスに抹茶ショコラ…」
「急に和を攻めるねー」
「なんていうのかしら、最近抹茶にはまりかけてるのよ。作法とか奥が深いのね。テーブルマナーは叩き込んでるけど茶の作法はやってなかったから新鮮だわ」
「あー、一応知識ぐらいしか知らないな抹茶って」
一度回して飲むとか結構なお点前ですねとか。
「でもたしかに抹茶はいいかもね。それなら苑木くんも食えるんじゃない?」
「そうだな…。茶は嫌いじゃない」
「抹茶…。私は紅茶のほうが好きなんですが…」
「あ、飲み物にもあるみたいだよ。抹茶と紅茶。なにこの中途半端な和洋折衷…」
どっちかに統一しろ。
「私のは何がいいかしら。今の気分は…」
「月乃ちゃんは私と一緒に紅茶にしましょう」
「俺コーヒーでいいわ。夢野は?」
「ロイヤルミルクティー」
「前々から思ってたけどミルクティーとロイヤルミルクティーってどう違うのかしら。紅茶はあまり好んで飲まないから知らないのよね」
ありゃ、そうなの? まあ、普通は知らないと思う。紅茶を好んで飲まないなら。
「普通に淹れ方の違いだ。ミルクティーは紅茶に牛乳をそのまま淹れたものだがロイヤルミルクティーは水と牛乳で煮出した物だ」
「ロイヤルミルクティーのほうがぐんと濃厚ですよ。私としてはミルクティーのほうが好きですけど」
「私はどっちもいける。紅茶で言うならレモンティーが一番好きだけど」
「わかります! 私も好きですよ! 寝起きとかに飲むとさっぱりして目が覚めるんです」
「勉強で疲れたなーって思って飲むとまたやる気が出るときあるよね」
「なるほど、そういうのもあるのか」
あのさっぱり感はいいよ。
「俺は寝起きが弱くてな。今度レモンティー試してみることにする」
「あら、淹れ方は私が教えましょうか?」
「頼む」
なんで紅茶でここまで話をしてるんだろう。
さっさとスイーツ食べよう。




