ぶっ壊された白露
翌日、学校の帰り道に白露が入院している病院に向かった。
病室に近づいていくとなにやら暗い雰囲気がしてくる。
「ねえ、冷や汗かいてきたんだけど私だけかしら…」
「空気が重いな」
「幽霊、いるのかしら…? い、いやああ!」
「まだいるって決まったわけじゃないでしょ…。まあ、病院は比較的存在する方だけど」
白露の病室に近づくにすれどんどん空気が重くなっていく。とうとう白露の病室の前についたが、空気が周りより一層重かった。
私は白露の病室を開けると、そこには、運動ができなくて枯れ果てたものがいた。ベッドに座り、心なしか真っ白になっている…。空気が重いのはこいつが原因だ。
「…白露?」
「燃え尽きちまってる…」
「なぜ!? なにもしてないじゃない!?」
きっと運動したい欲が強すぎたんだろうなぁ。
「あ、ああ、お前らか…。はは、私勉強しようと思うんだ…」
「うわ白露がぶっ壊れたぁ!」
「パン子! 人の壊し方知ってるなら治し方もわかるわよね!? 治して!」
「無理無理! 壊すほうが簡単なんだっての!」
白露は力ない笑顔を浮かべる。
「パン子、勉強を教えてくれないか…」
「やめろぉぉぉ! 気色悪いんだよ! 白露が自発的に勉強しようというとなんかむず痒いっ! 頼むからいつもの白露に戻ってくれ!」
「月乃も一緒にパン子に教わろう」
「嫌よ! お願いだから元に戻って頂戴! このままだと私の精神の方がどうにかなりそうだわ! ほんと何十万でも払うから元に戻って…」
スポーツできないだけでこうも壊れるのかよ。どんだけスポーツしたいんだ。スポーツ依存症か?
すると、白露はどこからか赤本を取り出し、勉強を始めており…。
私はすぐさま取り上げた。
「な、なんてことをするんだい!」
「口調も変わってやがる!? 現世に戻ってこい! 白露、あんたは好き好んで勉強をするやつじゃあない!」
「これ終わったらスポーツ施設に連れていってあげるから…! お願いだから元に戻って…!」
「私は東大に行くって約束したんだ! だから邪魔をするな!」
「誰と約束したんだよ!」
「今は亡きパン子と…」
「生きとるわボケッ!」
こいつの脳内で私は勝手に殺されてんのかよ。
スポーツできない環境だけで病みすぎだろ! 私より心ぶっ壊れてんじゃないの!? いや、私もマジでどん引くレベルで壊れてるよ、滅多なことじゃ幻滅とかしない私もちょっとこのやばさはやばい。
「も~いやっ! こいつ嫌だよ! 私もうこいつと話したくねえ!」
「あのパン子ですら投げ出すの!?」
「完全に頭おかしくなってるよもう~!」
私は頭を抱え、その場にうずくまる。
どうしたらいいんだ…。壊れた友人を直す方法なんて私の知識にはないぞ…。好きなことをさせるとかいってもこいつの好きなことはスポーツだ。無理だ。
「わ、私もう帰るッ!」
「あ、私も帰るわ! じゃあね白露!」
もう私お見舞い行かない! あと三日間ぐらいだからその分我慢しろい!
白露さん、スポーツができなくて壊れる




