ミキ先生との和解?
なぜよりにもよってミキ先生がくるんだ?
「…パンドラさん」
「は、はい。なんでしょう」
「王って、パンドラさん?」
「え、ええ。まあ」
相手も相手で私が王だってことを知らなかったんだ。ミキ先生も相当戸惑っている。さて、どうしよう。戦闘になるならなるでめっちゃ嫌なんだけどな。この聖杯を奪われたくない。
じゃあ、どうするか…。どうするのが正解なのか。
「その、パンドラさん。私たちも戦いたくないから聖杯を大人しく譲ってもらえることはできない?」
「無理ですよ。これがあるから私は王なんですからね」
そう大人しく渡せるもんじゃない。
この聖杯はフォルム的には私は好きだ。私の美的感覚にすごいヒットするようなもので、手放したくはない。
王とかはどうでもいいんだけどね。
「た、戦う?」
「嫌です」
「だよねー…」
私もミキ先生もなぜかお互い気まずさがある。ワグマはこういうことないのだが、ミキ先生は知り合いを攻撃したくない人だろう。
だからこそ口でまず交渉をしてるってとこかな。
「しょうがない。帰るよチリリン」
「え、ここまで来たのに!?」
「だって教え子と戦いたくないから」
といって、剣をしまった。
「そういえばワグマさんはいるのにビャクロさんはいないの?」
と、帰り際にそう質問してくる。そういやミキ先生はビャクロがオフラインなところあまり見たことがなさそうだしな。
それに、イベントもいつも一緒に参加してるのでなおさら不思議なのだろう。
「ビャクロはいま入院中です」
「え!? なんかしたの!? 骨折!?」
と、ミキ先生が一番驚いていた。
そりゃ心配にもなるかな?
「手術するほどの病気で…」
ワグマが面白半分にいっていた。事実だけどそこだけを伝えるな。たしかに手術が必要だった程重い症状だったけどそこまで重要なもんじゃない。
「し、心配だね…。私にできることがあるなら何でも…」
「ミキ先生。ただの盲腸ですよ。心配ないですって」
「も、盲腸?」
ミキ先生は盲腸だと聞いて、なんだぁと声を漏らしていた。ワグマは面白そうに笑っている。ワグマさんも私に似て性格悪…。いや、私に似ないで性格が悪いよね。まったく、誰に似たのかしらねー。
「本人はすっげえ気分がめいってるそうですけどね。運動出来ないーとか言ってますわ」
「入院中だから体動かせないもんね。私も入院したことあるけど運動出来なくてちょっと落ち込んでたなぁ」
ミキ先生もビャクロと同じ人種?
「ミキ先生も入院するんですね」
「普通にしたよ? 扇風機探すために物置を漁ってたら熱中症で倒れて搬送されて入院とか」
「なぜそこまで扇風機に…」
「だって暑かったんだもん」
暑くて扇風機探して結局熱中症って本末転倒じゃないですか?




