ミキ先生のダンジョン攻略!
私は一つのダンジョンをすでに攻略し、食器を奪う。
「ったく、何が無作為な選出だ! 心の中に一癖も二癖もあるやつじゃん! すっごいダンジョンめんどくさかったぁ!」
「ミキ…。結構暴れるね…」
「妊婦で満足に動けないストレスかな?」
現実の私は若干だがお腹が大きくなってきている。妊娠は嬉しいとはいえ体をあまり動かせないってのが難点。
だから最近は珍しく運動不足気味なのだ。多少は運動してるけどね?
「王に選ばれた人って私の知り合いがいないといいなぁと思うけど、嫌な予感があるんだよね」
「や、やめろよ。ミキの嫌な予感は十中八九当たるんだから」
と、チリリンがそういった。
私の嫌な予感は高確率で当たるから笑えないんだけど…。
「でも、知り合いなら最悪そこだけは攻略しないってのもありかな。よからぬ因縁つけたくないし…」
「もしその相手が戦う気満々だったら?」
「そりゃ戦うけど…。相手も私のことを知ってるんだからそう簡単に戦いに来ないと思う」
このゲームでは有名ではないが、前のゲームは有名だった。そのことが知られていれば戦うのは避けるはずなんだが…。
私はそのことを考えながら次のダンジョンに向かう。
次のダンジョンの場所はあらかじめ見つけていた。魔王城の隣にあったのだ。異次元の穴が。私たちはそこに入ると…。
「うっわ、さっきとは違ってすげえサイバーって感じだな」
「あれみて…」
と、私はチリリンに教えるために指をさす。
私の指がさす方向にはマシンガンの銃口があった。こちらに向けられている。ここはまだ安全だが踏み入れるのは許さんって感じがする。
入り口はここしかないってのにどうしろと…。
「相当心の警戒が高いんだろうね。このダンジョンは人の心を現して作ったらしいし人の事そんなに信頼してなさそうだね」
「ミキのようないじめにあってた人かもしれないね。運営も性格悪いなぁ…」
「そうかもね。慎重にいこう」
と、私は一歩踏み出した。
すると、突然警報音が鳴り響いた。
『侵入者! 侵入者!』
と鳴り響いて、マシンガンが放たれるかと思いきや、放たれることはなかった。私とチリリンはそのことを疑問に思いつつもダンジョンを攻略することにした。
「あのマシンガンは飾りなのかね?」
「まさか…。あれはちゃんと機能するんだと思うけど…。何かの不具合かな」
「わからん。で、ミキ。あれがたぶん王がいる王城だと思うんだよ。前のようにこの壁壊して進もうぜ」
「いや、この壁は…!」
と、私の話も聞かずにチリリンは壁に攻撃を仕掛けたがびくともしなかった。
「結構思い切りの一撃だったんだけど壊れない!」
「相当メンタルが強い…? じゃあいじめられてたって感じはなさそうだね…」
こんなにメンタルが強いならいじめられてても平気な顔をしていそうだが。
じゃあなぜこんなに警戒心が高いんだ? 私はその謎を解きつつダンジョンを普通に攻略することにした。
数時間後、やっと王城前まで到達していた。
「ミキが攻略に数時間かかるってどんだけひねくれてるダンジョンなんだよ…」
「性格が相当悪いのかもね…。とりあえず、中に入ろう」
私は王城の扉を開け、中に入っていく。
中を進んでいくが、魔物の類は見かけていない。このダンジョンは魔物がいないのだろうか。そう思いつつも玉座の間まで足を進める。
でかい扉があった。この先に王はいる。
王はきっと私たちが侵入していることに気づいているだろう。だから戸惑うことはない。
だが、嫌な予感はする。
「ミキ、どうしたの? 開けないの?」
「嫌な予感が…」
「ここまできて? まあいいや。私が開けるよ」
と、チリリンが扉を開けると…。
「ほら、知り合いだー!」
と、私の目の前には玉座に座るパンドラさんがいたのだった。




