強かな奴らに送る絶望のラプソディー ③
私の体は地面にぶつかり、私が福井警部だった魔物を見上げる形で座っていた。
追撃をしようと腕を振り上げた瞬間、福井警部の背後から何かが飛んでくる。
「見たかぁ! これが元女子野球部の実力だぜ!」
と、大地の勇者たちがそこに立っていた。
どうやら石を投げたようだ。
「大丈夫ですか、パンドラさん」
「大丈夫だっての」
私は立ちあがり、攻撃しようとするとタクシーが二台止まる。一方からワグマ、ビャクロ、レブルが降りてきてもう一方から日下部、空知が降りてきた。
日下部は目の前の福井警部だった魔物を見て、唖然としていた。
「…そいつが福井警部、なのか?」
「そうだよ。驚いた?」
と、今度はその魔物が私の上半身をぶん殴る。
「うわっ!」
「力強いんだな…」
と、大地の勇者たちが顔を隠している。上半身が吹き飛んだという形だがそんなのはいい。また水がどんどん集まってきて私の体を再構築する。
液体には打撃が効かないんだっての。その様子を見て大地の勇者たちも目を見開いていた。
「なっ…」
「ふ、不思議な人だな…」
さて、人が多い。これなら一方的にボコボコにできるだろう。
「…勇者ノ気配ガスル! オ前! ユウシャダナ!?」
と、レブルの方を見て勇者と言っていた。
突然降られたレブルがきょとんとしていると、その勇者を殺そうとしているのか、無謀にもその福井警部は距離を詰めていく。
はっと我に返ったレブルは剣を構えた。
「魔王様! 行きましょう!」
「わ、私? ビャクロじゃなくて?」
「魔王様と協力したいんです!」
レブルが距離を詰める。
そして、懐に潜り込むと剣でその福井警部を上にはじいた。ワグマはなんとなくわかったのか、大剣をぶん投げて福井警部だったものに当てる。そして、その大剣に向かって引っ張られていくワグマ。
大剣を引き抜き、そして地面に強く打ち付けるように大剣の峰で思いきりぶん殴っていた。
地面に打ち付けられ、地面が陥没する。
福井警部だった魔物はピクリとも動かなくなった。どうやら伸びているようで、瀕死の状況に近い。
「日下部さん、これって殺人罪適用されますかね…?」
「今は魔物とはいえ元人…。普通なら適用されるが魔物なら適用されないんじゃねえか…? 俺も初めてだから知らねえよ」
「ですよねー」
「でも人って魔物になるんですね…」
「普通はならないんだけど…」
あの黒い空間のせいだと考えていいだろう。
あれはなんなのか。さっぱりわからん。ヒントが少ない。
私が考え事をしつつ観察していると、大地の勇者たちは暇そうに戦いを見ているし、ビャクロは戦いたいのかそわそわしている。
ビャクロって戦うこと自体が好きだからなぁ。
「最後のとどめよ! レブル!」
「はい!」
二人は剣を握り、そして追撃を加えた。
その攻撃される瞬間、どんどん福井警部だった魔物の体が小さくなっていき、元の人間に戻っていく。
パンツ一丁で気絶しているようだった。元に戻ったことに気づいたのか、慌てて攻撃の軌道をそらしていた。
「元に戻った…?」
「おいおい、どうなってやがる?」
「わからない…」
ただ、魔物にしていた力が抜けたという感じだ。
どうなってるんだ?




