悲鳴の音が聞こえない ①
私たちはひとまず日本に戻ることにした。
ビャクロとワグマとカイハを連れて。渋谷707にでると、人ががらんとしていた。火事というわけでもなく、煙が充満してる様子もない。
「なんだァ? やけに人が少ないな」
「珍しー。貸し切り状態だね」
と、窓の外に目を向けると、ドラゴンが火を噴いていた。ドラゴンが放った炎は山に当たり、山が燃えている。
リアルゴジラかよ…。
「なんだあのでかいトカゲは!」
「ど、ドラゴン!」
「ビャクロ、パンドラ。何が何だかわからないけど直ちに行くわよ」
と、ワグマは大剣を構え、そして窓ガラスに向けて突進していく。大剣が窓ガラスを突き破り、ばらばらに砕け散った。
そして、建物の七階から地面へ真っ逆さまに落ちていく。
「着地は綺麗に決めなさいよ!」
「いや、私は無理…」
私は地面にそのままぶち当たり体が分散。
液体が集まり、私の体をまた作る。体が液体だから助かった。生身だったら着地できずに死んでたわ。あっぶねー。
ワグマとビャクロは華麗に着地を決めたようだった。
「着地できないとかダサいわよ」
「う、うるせえ…」
「とにかくあのドラゴンをなんとかしなくちゃいけないだろう。あれは私の勘だと結構強いぞ」
あのドラゴンは知っている
図鑑にも載っていた。Sランクに指定されているドラゴン。名前はエコードラゴン。その名の通り音を使ってくることが多い。
そのドラゴンが放つ咆哮は破壊力があり、地震をひきおこすこともあるという。
「結構被害が尋常じゃないわ! 避難は済んでるのかしら!」
「知らん! ただ、戦うしかないっしょこれ」
「そうね! 避難は警察に任せましょう! ただ、時間かかるわね…。なんか移動手段ないかしら」
「車を借りよう」
と、辺りをきょろきょろ見渡すとパトカーがこちらにやってくるのが見えた。
「あれを借りるわ!」
「うーむ、パトカーというのがなんだか親近感がわくな」
パトカーが私たちの目の前で止まる。
「君たち! すぐ避難しなさい! 危ないぞ!」
「いや、私たちは逃げない! パトカー、貸してもらうぞ!」
と、ビャクロが運転していた人を掴み、窓の外に放り出す。横に座っていた人もワグマが外に放り出した。
パトカーは前に進んでいく。私たちは扉を開けて飛び乗った。私が運転席、ビャクロとワグマが後部座席。
「き、君たち!」
「悪いね! 早くあそこに向かわなくちゃいけないんだ! 日下部刑事に許可もらった!」
嘘だけど。
私はアクセルを目いっぱいふかす。私はろくすっぽ運転したことはないが自学で習うようなことは頭に既にいれている。動かし方も一応は叩き込んでる!
それに事故っても私らは無傷で済むだろうからなぁ!
「住宅街だからか曲がり角多い!」
壊されてる住宅があるので、とりあえず私らもぶっ壊しながら直進! 水の魔法で瓦礫を強制的にどかしつつ前に進んでいく。
「すげえ臨場感! あと、ものっそい楽しい運転!」
とりあえず、一直線でいってるので敵はもう目の前だ。




