勇者としての役目
私は今、ビルの高さから落下していた。
「大丈夫ですか! 今助けます!」
「助けるったってあんたも落ちてんじゃねえか!」
「このぐらいの高さだと私は死にません!」
私は壁を走り、スピードを上げる。
事の発端は仕事だった。今日はビルの屋上でソーラーパネルというものをつけるという作業をしていたのだが、私が屋上にあがったら今にも飛び降りそうな人がいた。
靴を脱ぎ、遺書って書いたものをおいて。自殺というものだろうか?
「なにしてるんですか!」
私は思わず叫ぶと、相手もびっくりしたのか足を滑らせて落ちていった。
私はそれに続いてビルから飛び降りる。
「レブルちゃん!」
と、後ろから入ってきた先輩がそう叫んでいたが私は目の前の人を救うということしか考えられなくなっていた。
なぜ死にたいのだろう。死にたくなるぐらいに辛い経験をしているのか? わからない。でも、救えるのなら救いたい! それが勇者としての役目!
「なんでお前まで死を選ぶんだよ! お前みたいな若い奴がさあ!」
「死ぬ気なんて毛頭ありません! あなたを救いにきただけです!」
私は男の手を掴んだ。
「掴みました! と、もうそろそろ地面ですね!」
私は体勢を整え、魔力を使って体を目いっぱい強化させる。
そして、私は背を向けて地面に激突したのだった。痛い。魔力で体を補強し、痛みを軽減したとはいえあの高さから落ちると流石に痛みは感じる。
でも、生きてる!
「大丈夫ですか!?」
「な、なんでお前俺の下敷きになって生きてんだよ…」
「私は頑丈なので!」
男はそういう問題じゃないと言っていたが。
「とりあえずもう自殺なんてしないでくださいね。生きてたら何度だってチャンスはあるんです。何度失敗しても、何度落ちぶれても、前向きに、胸を張って生きてさえいればなんとかなるんです。運命というのは誰にも分らないんですからね」
私はそういって師匠には内緒で買った安い財布を投げる。
私の全財産である二十万円を渡した。これで人の命を救えるのなら安いかもしれない。師匠はこの人をどう説得するのだろう。でも、師匠も自殺なんてものは止める気がする。
「では! 私仕事がありますの…あ、師匠!」
「…レブル」
師匠は何か言いたげで私を見ていた。
☆ ★ ☆ ★
私は707に行くときに偶然ビルから落ちるレブルを見た。あのスピードだと屋上から落ちてきたんだろうけど……。
地面に落ちてレブルは元気に立ち上がっていた。
「あの人落ちてきたのに無傷! どうなってんの!?」
「あー、やっぱ相当規格外なんだな…」
めちゃくちゃ高いビルの屋上から落ちても怪我無いって本当にバカみたいなスペックだよな…。
私はとりあえずレブルに近づくと、レブルは男の人に説教をしていた。
どうやら男は自殺しようとしていたらしく、屋上から落ちたのをレブルが助けたようだ。レブルが買ったであろうがま口財布を男に投げて去っていこうとしていたので私は声をかけた。
「レブル」
「あ、師匠? どうしたんですか?」
「いや、さっきの人は?」
「あー、えっと、助けた人です!」
「そう。あ、そうだ。今から707行くんだけどレブルもいかない?」
「あ、いきます! ちょっと仕事を終わらせてくるんで三十分お待ちくださいー!」
と、走って中に入っていった。
そろそろ異世界に取り残された組を書きたい




