空知さん心境
空知の話を纏めると行ったときは渋谷の707の服売り場にいたらしいが、帰ってきた時はスクランブル交差点の真ん中にいたということだ。
私たちもそういえばスクランブル交差点のど真ん中に私たちは確かにいた。たぶんスクランブル交差点にも穴があるんだろうな…。
「それにしてもパンドラさんスタイルいいねえ! 顔は…クマがなければ完璧!」
「いやいや、クマが私のアイデンティティだから」
「でも不健康そうに見えるよー? ちゃんと寝てるの?」
「そりゃもうぐっすりと」
目の下のクマがないと私はパン子って呼ばれないからな。
よりパンダに近づくように将来的には髪を白く染める予定だ。っていうか学校自体髪を染めてもいいということにはなってるのだが華美な色がダメなのだ。白髪あるから染めようとか、黒髪がいいから染めようというのはオッケーらしい。
許せて紺色らしい。
話がそれた。
「じゃ、707行ってみるか」
「そうこなくちゃね! ふふっ、私がコーデしてあげる! これでも異世界に行く前は読モやってたんだよ!」
「いや、服装の為に行くわけじゃない。異世界に行ったところにいくだけだっての」
「いいじゃん! その服装は日本じゃちょっと浮いてるよー? 日本に溶け込むためにもこの国の服装はあったほうがいいんじゃない?」
「そりゃそうか」
そう考えてみればそうなんだよな。
たしかにこの服装はこの世界では見ない、が防御力とかそういうのがあってな。異世界って結構物騒だから魔力で作った糸とかで編んだ服とか、くさりかたびらとかそういうのがないと安心できないし戦うとき不便。だがしかしTPOというものがあり、そういうのも大事となるだろう。
「わかったよ。でも私金ないから」
「んなもん私が払ってあげるってー!」
「ならいいよ」
と、私たちは渋谷の707に向かうのだった。
「ってことでおじさん! 今から女子二人で707にいってくっから!」
と、長い煙草を吸い終わって入店してきた警察のおじさんを置いていき、私たちは707に向かうのだった。
「あ、ちょ! 食うだけ食って帰りやがった! しかもこの店で一番高い奴頼みやがって! 遠慮というものを知らんのか! これだけで俺の今月の小遣いが飛んでくぞ! うあああああ!」
と、後にした店内はそういった悲鳴が聞こえてきた。
そういやあのパフェぺろりとたいらげていたな…。どこにそんなのが入るんだってくらいに一人で食べ切っていた…。ビャクロより食べるんじゃないか?
とりあえず、私はあまり人に同情はしないのだが、流石にあの警察官には同情せざるを得ない。今月の小遣いがなくなるってまだ三月の中旬なのにね…。
「さすがに悪かったかな。でも私警察の人とかあまり信用できないからいい気味かも」
「なんで信用できないの?」
「ん、ちょっと家の事情でね。それに、今更私のいうこと信じるとかありえないって。前まではバカにしてたくせにさー」
そりゃ異世界があるだなんて常軌を逸した話だし、信じがたい話でもある。
人はみな、目にしたものしか信じない。話を聞くだけでは信じることはあまりないだろうに。
「ほんっと、私警察は大嫌いなんだよねー…」
と、つぶやいていたがその音は人混みの中に消えていく。




