スーパーウルトラデラックススペシャルハイパーゴージャスデラックスパフェ
今までで一番長いサブタイトルです。(作者の作品内で)
警察立ち合いの元、喫茶店に空知さんを呼び出した。
「警察の人が今更何の用ですか?」
と、制服を着た女の子がカバンを持ち話しかけてくる。
「君は、本当に異世界から帰ってきたんだね?」
「そうですよ。つっても信じないでしょ? 頭のお堅い警察は。巷じゃ魔物事件だなんだのと起きてるのに…」
「いや、警察は既に異世界はあるという方針になっている。にわかには信じがたいがそうではないと説明がつかないからな」
というと、空知さんは少し顔を明るくしていた。
「でしょ!? あるっしょ!」
「ああ。で、決定づけたのがこの人だ」
と、刑事さんは私を差す。
「異世界から来たパンドラでーす」
「異世界人!」
「とりあえず君の話を聞かせてもらいたくて」
そういうと空知さんは嬉しそうに私の隣に座る。
私と肩と肩を寄り添え、ナチュラルに腕を組んできた。そして、メニュー表を見てなににしよっかなーと上機嫌に鼻歌交じりでメニューを決めている。
こいつ…! 自然と距離を詰めてきやがった…!
「…おじさん邪魔か?」
「はい、邪魔です」
「いやいやいや、邪魔じゃないですよ」
「私ぃ、この子になら洗いざらい話せそうです…」
「こいつ…目がハートになってやがる…。わかった。女性の空間におじさんは邪魔だろうな。パンドラ、話を聞き出せよ。おじさんは外でたばこふかしてくる…」
「はぁ、俺が金払うっつーのに」とぼやきながら喫茶店を出ていった。
「さて、邪魔者はいなくなったんですし、このパフェ頼みましょう!」
「スーパーウルトラデラックススペシャルハイパーゴージャスデラックスパフェ…」
デラックス二回言ったぞおい。なんだこの異様に長い商品名は。なぜこれだけ画像無しなんだ? 滅茶苦茶気になるけど絶対碌なパフェじゃねえだろ。それは普通にわかるぞ! デラックスを二回言う時点で碌なのじゃない! それに値段が一番高く、1万5千円とかぼってんだろ。周りが200円とかなのに一番浮いてるぞこのメニュー。
「すいませーん! SUDSHGDパフェくださーい!」
「そう略すんだ!?」
全部イニシャルの頭文字。逆に言いづらいだろうに。
「かしこまりました」
といって、数分後に出てきたのは、バケツみたいなでかい容器に入れられているホントにバカでかいパフェだった。
並大抵の女子なら絶対ギブアップする量で、見ただけでも胃が持たれそうになるぐらいには白い。めちゃくちゃ生クリームがすごい…。
「はい、あーん」
「あ、あーん…」
と、空知さんがパフェ用スプーンでパフェをすくいあーんをしてくる。
いや、味は悪くない。フルーツもふんだんに使われてるっぽくてイチゴの酸味が生クリームの甘さを中和、で、生クリームは意外と油分が少ないのかさらっといける。
意外とうまい。食べる側の配慮もきちんとある。
「異世界でこういうの出てきたときビビったんですけどでも異世界の人ってみんな胃が大きいんですよね」
「まあ、たしかにボリュームある店多かったな…」
「でしょー!? ああ、そういや異世界の話を聞きたいんだっけ? っていってもあっちで勇者に選ばれたとかそんなべたな話はなくて迷い込んで一年ぐらい過ごして戻ってきたってだけだよ。魔法も一応習ったけど一年ぐらいじゃうまくならないよね」
「そうなんだ」
「だから私から手掛かりを得るのはむーだ。パフェ美味しー! あっ、か、間接キス、だね?」
「スプーン一つしかないからわかってるでしょ…」
今更間接キスを気にすることもないし…。




