異様な事件
とりあえず霊園の穴は封鎖し、私はまた留置所に戻る。
そして、警察の不思議なことが起きた時の捜査資料を見せてもらっていた。
「去年の2月、行方不明になっていた空知 侑那16歳が発見、本人は異世界に行っていたと供述…」
「聞いても異世界に行っていたとしかいわなかった。当時の警察は誰も信じちゃいなかったが…。今となっては信じるやつもいるだろうよ」
「その人に会えたりします?」
「わかった」
ということで明日この人に会うことにした。
「ほかにも湯夏学園の一年二組の集団行方不明…。行方不明者多すぎない?」
「偶然目撃した生徒はなにやら光っていたといっていた」
クラス転移…。ライトノベルかよ。
とはいっても、行方不明者の数は確かに異様だな。こうも異世界に連れていかれてるとは……。やはり穴というのは無数に存在しているのかもしれないな。
だがしかし、めぼしい事件はこれぐらいか。あとはただただ犬が行方不明になったーとか、それぐらい。
「異世界に連れていかれたと供述する奴がいて、異世界から来たという証言もあることから間違いなく警察は異世界の存在を信じるだろうな。それに、代々木公園の魔物事件…。あの強さの魔物は俺ら警察じゃ太刀打ちできねえ。お前みたいな戦える人物が異世界から来たっていうのは幸運だった」
「体を魔力で強化してますからね魔物は。銃弾とか致命傷になりえないことが多いですよ」
そもそも心臓の位置まで銃弾が届かないだろう。
魔物にとって出血はあまり致命傷じゃない場合が多い。すぐに傷が回復するからだ。だから出血多量で…とかは考えないほうがいい。
「たぶんこの異世界から来たって人が出てきた位置に穴があると思うんです。妙来神社みたいな穴が。あと、学園で光ったっていうのはおそらく他者の介入…。そうだな、神様が起こしたのでしょう」
「か、神様だァ?」
「ああ、信じなくてもいいですよ。日本で神様というのは概念的存在なのは知ってますし信じない人も多いでしょうから、神様がいるんだなって程度で思っておけばいいです」
きっとアトラクス様がやってるんだろうな。話を聞けたらいいんだがここでメルセウス様とかと通じられるとは思わない。
それに日本なら別の神様がいるんじゃないか? 天照大神とか。八百万の神もいるだろうて。トイレの神様とか。それはそれは綺麗なトイレの神様とか。
「空知さんが異世界から来たとなると魔法を使える可能性が高い…。もしかしたら穴を開いているのは空知さん自身だったりしないのか?」
「…え?」
「可能性の話ですけどね。どうも穴が多すぎる。人為的と考えてもいいと思うんです。誰かが開いている…。となると魔力を持った人が怪しいんですよ。そこで焦点を合わせられるのが異世界から戻ってきた空知さん…。魔力で強引に穴をあけたと考えてもいいのかもしれませんね」
「そ、そうなの、か?」
「ま、あくまで推測の域ですけどね」
本人を確認しなきゃわからないことだ。




