青山霊園の異世界ゲート
家に帰りメイクを落としヘッドギアをかぶる。
目が覚めると牢屋の中だった。いや、留置所だから鉄格子があるのは当たり前なんだけれどさ。と、食事も置いてあった。コンビニに売ってあるような安物のパン。
「随分と遅いお目覚めだな」
「寝るのが半分趣味みたいなもんなんで。どんなに強くゆすられても起きませんよ」
と答える。
「で、ここに来たってことはなんかあったんですか?」
「いや、調べてほしい場所がある」
と、刑事さんがいう。
調べてほしい場所?
「青山霊園だ」
「ああ、心霊スポットの?」
「ああ。ここ最近、青山霊園近くでの行方不明者が多発している…。その、あんたがいう異世界が本当なら何かあるんじゃないかと思ってな」
ということらしい。
たしかに現実でもそういった類のうわさはある。青山霊園という場所でタクシーから降りた人は幽霊でなぜか後部座席が濡れていた話が有名なのと、肝試しにいったカップルが異世界に迷い込み行方不明になったという話もあるぐらいには。
となると、実際に異世界に迷い込むゲートがあるのかもしれないな。
「青山霊園は現在封鎖している。一緒に来てくれ」
「わかりました」
そりゃ行方不明が多くなるんだから怪しむだろう。そして増えないようにするためには封鎖するのが一番だ。
私は自分で鍵を開け、牢から出てパトカーに乗り込む。霊園か。霊園ってことは嫌な予感がする。
「…死体が動いてたりとかする報告は?」
「今のところない、が…。そうか。ゲームだとアンデッドモンスターというのもいるから注意した方がいいのか…」
「異世界にも実際アンデッドはいますからね。魔力が流れて死体にでもまとわりついたら魔物になりますよ。その魔物が警察の目をかいくぐり霊園の外に出ていたらって考えると怖いですよね」
「確かにその通りだ。だが、アンデッドというのは大丈夫なのか? 俺らでも倒せたりはするのか?」
「お寺の住職とか霊媒師ならワンチャン」
多分その人たち防御力皆無だし本当に力があるのかわからないから任せるのは不安だろうけど。
異世界のアンデッドも一応物理は通るが魔法攻撃が通りやすいので基本そちらで倒すのが一般的だ。アンデッドモンスターを物理で倒すのなら四肢切断して動けなくして脳を壊す、しかないだろう。
「あと、拳銃で脳みそを狙うとか」
「脳?」
「異世界での研究によるとアンデッドは頭に脳がありそこに魔力が溜まりすぎて自我を持つらしいんです。その脳を破壊したら体に指示することができないので動かなくなってアンデッドは倒れますよ」
「なるほど。我々でも十分対処は可能、か」
「ただ、脳みそ以外をうってもたいしてダメージにはなりませんし、脳みそ以外で倒すのなら本当に弾数がいります。あまり弾を消費したくないならまあ、頭を狙ってください」
アンデッドは未だに謎があるモンスターらしく研究もまだまだ進められている。私も詳しいことはよくわからない。
「と、ついたぞ。後部座席は濡れてないよな?」
「濡れてるといったら?」
「ひえっ」
「嘘ですよ濡れてませんって」
私はパトカーから降りる。
さて、異世界ゲート探し、か。




