協力してほしい
私たちは場所をリーダーのヤストの家に移した。
「先ほど話していた人物も異世界の者か?」
「うん、そうだよ。あいつ、私よりつえーぞ」
「…同意。私たち七人が総がかりでも倒せない実力を察知した」
と、無口なネムがそういうとみんな驚愕していた。
「俺ら七人束になっても勝てねーの…?」
「あいつ半分人で半分神みたいなもんだし、それに、もともと勇者だったからそのスキルと耐久力、そして純粋に力と戦闘スキルもある」
「神の血が…」
レブルは私でも実力が測れていない。
結構私たち魔王軍のなかではイレギュラー的な存在ではあったりする。
「なあ、前から気になってたんだが異世界ってのはどんなとこなんだ?」
「随分と平和だよ。私たちが住む大陸はね」
「魔王というのはいるのですか? 物語ではそういうのいるのですが」
「いるよー。魔王も特別悪さしてるわけじゃないし、っていうか、悪さしてんの基本私だからね」
ワグマは自分で悪さするということはないもんなぁ。
悪の魔王になりたいつったくせに悪いことしないもんな。
「悪さしてる?」
「ん? ああ、そうそう。結構私は悪さしてるよ?」
「え、えっと、午前の紅茶を午後に飲んだりとかですか!?」
「悪さの基準が低い…」
その程度の悪事ならいつもやってるわ。
「…人殺し、とかか?」
「そう! 大正解! 悪さ自慢をするわけじゃないけど、私は人をたくさん殺したことがある」
そういうと、みんな一斉に距離をとり始めた。
「そう怯えるなって。私は何もしないからさ。ま、君たちにはある協力をしてもらいたい。ここで殺されたくなければ協力してくれるよね?」
「…や、やんのか?」
「はっきりいうと私は君たちを信用できない。君たちの考えがまだわかってないからね。ここで殺されるか、協力してくれるかどちらか選べ」
私がそういうと、リーダーのヤストは剣を構える。
「あはは! そんな構えないでよ。人を殺したのは冗談じゃないけど君たちを殺したりしないって。協力さえしてくれればね?」
「…どんなことだ」
「はっきりいうと、異界につながるゲートを一緒に探してほしいんだ。私の考えだと魔物がそこからでてる。私一人で探すのも骨が折れるし一緒に探してほしい」
「なんだそんなことですねー。私たちもゲートを探してるんですよ」
「ありゃ? 目的は同じ?」
「みたいですねー! 一緒に探しましょ!」
「そうだね。じゃ、話はまとまったし一緒に探すってことで…。あ、ちょっと待って」
私は水の魔法を壁に放つ。
「ど、どうした!?」
「いや、ゴキちゃんがいたから」
仕留めた。
「わ、ほんとだ」
「スナイパーみたいに仕留めましたね…」
このぐらいは朝飯前よ。




