大地の勇者
私が地面の爪痕を観察していると、高校生の声が聞こえてくる。
「ここらへんだぜ。魔物がいるって場所は…」
「でも見当たんねーぞ?」
と、男女七名の高校生の集団がいた。
それぞれ武装はしているが…。
「……魔物なら討伐したよ」
「は? 普通の人間に討伐できる代物じゃねえぞあれは…」
「あんたがやったのか?」
「私というか、連れだけどね。で、あんたら誰よ」
私がそういうと、七名はそれぞれ自己紹介を始めた。
「俺は人呼んで”大地の勇者”のメンバーのリーダーであるヤストだ」
「私はヒーラーのメルです!」
「僕はヒュウです」
「あたしはアイ」
「…ネム」
「……アイルだ」
「パルだよ!」
大地の勇者?
「俺らは特別な力をもっててな、各地の魔物を倒して回ってるんだ」
「ふぅん」
こいつらにそんな戦える力があるとは…。いや、魔力?
この世界に魔力は存在しないはず…。誰からも感じることはできなかったのだが、なぜかこの七人は魔力を持っている、そんな感じがする。
なるほど、こいつらの力を得たきっかけがわかればなんかわかりそうだ。
「あんたも異界の力を持っているのか?」
「異界?」
「俺らは裏の世界と呼んでいる世界の力の事だ。俺らはそれに目覚めた。だからこの力を使える」
ふうん。私たちの世界の力を…。
「力、力ねぇ。ま、それは普通に持ってるけどさ」
「そうなの?」
「…仲間」
「仲間と呼べるもんかねぇ。まあいいや。君たち、どういうきっかけで力を得たの?」
「…ある日突然手に入れた。知らない女神から力をもらった」
「…アトラクスとか名乗ってた?」
「…うん」
あの創造神さまかよ…。
まあ考えてみれば想像したということはこの世界も創造した、ということなのかもしれないが。あの人は力を与えて何をしたかったんだ?
「ピンチに陥ってーとかそういうのじゃなくホントに突然?」
「寝てたら夢でアトラクスって名乗る女神さまが力を与えるから魔物を倒してくれっていわれてさー」
「…なるほど」
きっと魔物がこの世界に来てしまったということで力を与えて討伐してほしかったのだろう。
「ありがと。じゃ、そゆことで」
「俺らからも聞きたいことがある」
「なに?」
「あんたの名前はなんだ」
「うーん、パンドラ」
「パンドラ? 聞いてはいけなかったか?」
「そうでもないよ。ただ、私にかかわるには相応の覚悟をしてもらうけどね」
ま、悪いことはしないけど。
「あんたはどこから来た。その身なり…。この世界のものか?」
「するどいね。ま、簡単に言うとキミらが言う異界から私は来たんだよ」
「…!」
全員の顔色が変わった。
「さらに言うと君たちに力を与えた女神さまも知っている…」
「……異界の、人」
「そうそう。他にもう一人いるんだけどそいつ今働きにいっててさー。機会があったら紹介するよ。じゃ、私は調べものも終わったしちょっと考えるからばいばーい」
私はそういってその場を去っていった。




