代々木公園の魔物騒ぎ ②
代々木公園につくと、子どもの悲鳴が聞こえてくる。
「誰か既に侵入している!」
しょうがない、抜け道とか考える暇はない!
強行突破しかない! 警察の人が私たちを発見する。手を横に広げて止めるが、レブルは警察官の頭を馬飛びして柵を飛び越えていった。榊をわきに抱えて。
私はとりあえず水で拘束して動けなくさせてから突破した。
で、中に入ると狼の魔物が中学生を襲っていた。
「ひいいい!?」
「た、助けてぇ!」
一人の男子中学生がよろけて転んでしまうのだった。
そして、狼の魔物がその男の子めがけて爪を振り下ろそうと…その瞬間、警察官の一人がその中学生を庇おうと前に出るのだった。
レブルはその警察官を見て笑い、榊をその場で投げ捨て、そして大地を強く踏み出した。
「私なら行けます…! ランクはDでしょうか。なんとも弱い魔物です!」
レブルは片手に剣を創り出し、そのまま剣をぶん投げた。
振り下ろしそうとしていた腕に当たり、腕が飛んでいく。
「間に合ってよかった…! はああああ!」
レブルはそのまま剣を引き寄せ、そして頭上から兜割り。魔物は二つに分断され、ポリゴンと化して消えていく。
ぽかんとする警察官と中学生。
「ふぅ。師匠! やりました」
「よし、これで魔物騒動は終わり…と」
レブルは剣をしまい、中学生に手を差し伸べる。
「ほら、もう怖くないですよ。私が倒しちゃいましたから」
「え、え、あ、え?」
「えっと、青い服を着た人も…もう大丈夫です。死ぬことはないですよ」
「…レブル、撤収!」
「え!? な、なんでですかあ!?」
騒ぎになるんだよ!
良いことをしたといえど犯罪行為をしていたら捕まるんだよ! 銃刀法違反! 15cmは思いきり超えてる剣は持ってちゃダメなの!
世知辛い世の中だからこういうのは本当に困るんだよ…。
「それにしてもなんでこの世界にまで魔物がいるんだ? 私たちが来てから…というわけじゃなさそうだし」
「わかりませんね…」
「そうだ! 入り口にはまだ警察官がいる可能性がある…」
「来た時と同様に突破しましょう!」
「あんな芸当できないっての! とりあえずここは…」
私はイベントリにあったけむり玉を取り出し、入り口の警察官めがけて投げる。警察官はもくもくとした煙に包まれ、私たちはそのどさくさに紛れて出口を突破した。
だが、あることに気づく。
「あ! 榊忘れた!」
「あっ!」
榊をあの場に置いてきてしまった。
と思ったらついてきていた。後ろを見ながら、必死に走って向かってきている。
「ひ、ひどいですよ! 怖い思いさせておいて置いてくなんて! 絶対あの場にいた人警察に連れてかれますから…時間の問題ですよ! 警察はただでさえ優秀ですから…。そ、それにあの場にうちの父もいましたし…」
「父親警察官なんだ?」
「はい。一応刑事です」
「なるほど」
「ああ、父さんに怒られるよォ…」
というと、背後からパトカーが来ていた。
「レブル、お手上げ。捕まった」
『大輔! とまれ! あとそこの女性二人も!』
「ということでレブル、ストップ」
私はレブルを止めたのだった。




