トラック先輩を止めろ!
真っ白いパズルを解いたあの場所へ向かう。
呪文を唱えればいいんだっけか。私はレブルの手を握る。
「レブル、呪文を唱えよう。レブルは勇者に選ばれるほどの力があるからたぶんいける」
私はそういうと、はい、と笑顔で答えてくれたレブル。
そして、私たちは口を開くのだった。
「「銀の月は我が力となり、世界の扉を開かせよ」」
呪文を唱えると、目の前にはブラックホールのような穴がぽっかりとあいた。
そして、それに吸い込まれるような感じで私たちは穴へと入る。歩いているというよりかは上っている……と言えば正しいのだろうか。
私たちの体は浮き、そしてそのまま光が見える出口にまで一直線だった。
そして、光の出口にたどり着き、私たちは光に包まれる。
「…ここは渋谷?」
目に見える光景は渋谷だ。
ただ、いろいろな問題があるからか店名がちょっとだけ違うが…。見た感じ渋谷のものだった。渋谷のスクランブル交差点の真ん中。信号は赤。
日本、だな。たしかに日本だ……。
「ど、どこですかここは! み、見たこともないものばかり…!」
と、その時だった。
一台のトラックがこちらに向かっている。運転手はどうやら寝ているようで居眠り運転だ。レブルの方を見ると、レブルは興味津々に周りを見ている。
「レブル! トラックが突っ込んでくる! 止めれる?」
「トラック? あの今こちらに向かってるのですか! やってみます!」
レブルは立ち上がり、トラックのほうを向いた。
すると、男子高校生がこちらに走ってきている。助けようとしているのだろうが…。そんなのはいいと思う。
「危ない…!」
「ふん!」
レブルは力いっぱい込めてトラックを素手で押さえつけていた。
そそのかした私も悪いけどほんっとバケモンだな…。トラックを素手で押さえつけてるレブルを見て男子高校生はバカみたいな顔をしていた。
「この程度なら楽勝ですね! はあああああ!」
「楽勝って言って止めちゃうあたりほんとバケモンだよお前…」
「な、なんですかあなたたち……! っていうか鎧? 剣?」
レブルは素手でトラックを止めた。
そのことを周りが見ていたのか、騒ぎになっている。
「師匠! なんてことない魔物ばかりですね! でもここが日本ってところですか」
「あれ魔物じゃないしこの世界魔物いないし…」
「そうなんです? じゃあこれってなんですか?」
「トラックっていう…。まあ、カイハが作るような機械だよ。さ、ここ移動するよレブル。男子高校生! 迷惑かけてすまなかったな!」
私はレブルの手を引いて、その場を離れる。
っていうか、マジの日本じゃん。ゲーム内でこれを再現するとは技術だけはあるな……。




