新たな発見
私はとんでもないものを見つけてしまったかもしれない。
まさかこんな国立図書館にこんなすごいものがあるとは思わなかった。私は複数の本を開き、目を見開く。
「パチモンじゃなかった……! よわいドラゴン、本当は暗号文だったんだ…!」
私はパチモンたちを並べて、比べてみる。
内容が違う、が、そうじゃないのだ。ドラゴン、弱い。違う。なぜこれが実際に起きた話じゃないのか、なぜ実際に起きた話の中に嘘が混じっているのか、いや、嘘なんかじゃない。
この絵本が示唆しているのは、別の世界がある。
この世界とは違う別の世界。
よわいドラゴンには魔法を使う描写もなければ剣を使う描写はない。となると、剣と魔法の世界ではないことがわかる。
その世界には心当たりがある。だがしかし…。それは本当に存在するのか?
「行き方はわからない…! よわいドラゴンの続刊は初めからなかった…!」
「ど、どういうことですか?」
「レブル、別の世界に行くぞ」
「べ、別の世界?」
「これらは重要な発見だよ。別の世界があるんだ! きっとこの本の中に別の世界への渡り方が書いてあるはず! この作者は別の世界の人なんだ!」
作者の名前は掠れて読めない。
私は本の情報を一気に頭の中に取り込んだ。別の世界へ行く、運営も別の世界があることは示唆していなかった。
だからこそ可能性は考えなかった。だがしかし、こういう風にちりばめて…。誰も気づかないようなところにやるとはなぁ。
「……ニホン国!」
重要な情報だ。
ニホン国から転生した人がいる、というのは前にも話していた。もしかしたら、裏の世界は地球なんじゃないだろうか。
ニホン国初代国王…。チョコレー島にいたコンクリートを作った地球人…。
そいつらはきっと……。
「ニホン国の日本人が最初に転送されてきた場所…。そこで行き来ができそうだ」
「そ、それについて調べるんですね! わかりました!」
「いや、その情報はここにあるとは思えない。隣国の情報であり、そういうのは基本ニホン国にあるはずだよ」
「じゃあ、ニホン国に戻って探す…ということですか?」
「そゆこと。時間もないからモルを呼んで一気に移動しよう。そのほうが早い」
私は国立図書館を退館し、口笛を吹く。
ぴぃぃと甲高く笛の音が鳴ると上空に影ができた。モルの影がこちらに近づいてくる。モルは地面に着地し、私たちは背中に乗った。
「モル、ニホン国の…そうだなぁ、王城まで」
「カァァァ!」
モルが羽ばたき、そして、猛スピードで向かうのだった。
裏の世界が地球だとすると、ニホン国のこともつじつまがあう。裏の世界へいこう……! きっとなにかある! そこにはなにかが!
なにがあるかはわからないけどね。




