絵本の続きを
家に帰り、ヘッドギアをかぶる。
久しぶりに自分のアバターでログインをする。
目を覚ますとレブルが本を読んでいた。
「あ、起こしちゃいました?」
「いや、普通に起きたけど……。何の本を読んでるの?」
「え、えーっと、昔お母さんが読んでくれた絵本があって懐かしいなって思って…」
と、出したのはよわいドラゴンという本だった。
一応絵本も取り扱って入るけど見る人は私ぐらいだ。書庫を利用する人はいるけど絵本に見向きもしない。絵本を見ろよ、意外と大事だぞ。
とはいっても、本当に幼稚園児向けの感じだからなぁ。
「どういう話?」
「えーっと、あるところにそれはそれは弱いドラゴンがいて、そのドラゴンは村の子供にも負けるぐらいに弱いんですけど、ある時村が襲われて、その時に人間のやさしさにふれて弱いながらも立ち向かうんです。結果はぼろ負けで瀕死の重傷を負って村も壊滅するんですけど、奇跡的にケガ人こそはいるものの死者はいない、ドラゴンのおかげだっていってそのまま死んでしまったドラゴンを神として祀ったという話です」
「ほーう…」
今で言うなら途中でチートスキルが覚醒して無双しちゃって村の人にも感謝されて崇め奉られ、そしてそのまま村の守護者として居座るパターンだよなー。
で、あらゆる種族にモテる、と。そういうのが最近のお決まり…。って絵本だからそれはないよな。
「立ち向かう勇気が必要なんだって私は学んだんですけど…。やっぱりオールランド王国に捕らえられてた時は立ち向かえなくて…。やっぱり情けないですね」
「まあ、そういうのは気分によるからな」
この時行けんじゃね?って思ったら勇気が湧く。これはほんとに。
「これの続刊ってありますかね?」
「あー、そういや探したことないな」
そのタイトルに1、という数字が書かれている。だから2以降もある可能性が高いんだが……。そういや探したことがない。
だが、2はなかった気がするな。
「2はない気がする。そもそもオールランド王国で読んでたってことはそっちで出版された本だろうしニホン国じゃ手に入らないと思うからなくても不思議じゃないけど…」
「お、オールランド王国にいってみます! よかったら一緒に行きませんか?」
「今から? んー、暇だしいいよ」
ということでオールランド王国にいくことになった。
絵本の続きを探す、ということなんだけど、なんっか嫌な予感がする……。あの絵本、初めて見た時からなんか気になってんだよなぁ。
ドラゴンがまつられた……。滅ぼされた村…。建物が壊されて住めなくなったとみてもじゃあドラゴンはどこにまつられたのか。
私がプレイしてきた中でドラゴンがまつられた街というのは聞いたことがない。実話じゃないのだろうか。
だがしかし、違和感はなぜこの絵本だけ実話じゃないのだろうかという疑問がある。
実は魔王城にある絵本はすべて実話だったのだ。過去の出来事と一致した。
だからこそ不自然っていうか……。オールランド王国にはその秘密がある、のかな。




