イベント最後の戦い ②
私の目の前には女子と男子がいる。
名前は由香利さんとキラー。高山君だ。高山の得意武器は短剣…。暗殺者の確率が高いな。一方由香利(プレイヤーネームはリリーというらしい)は武闘家。そういえばこいつ空手部に所属してるんだっけ!
私にはどうやら近接で戦えということがばれているようだ。
「近接の素早い系かよお前ら…! 本当に嫌なとこついてくるなぁ」
「ふっふっふ。ここ一年一緒にいるんだよ? わかるよそれぐらい」
「前のロシアンルーレットのお返ししてやるよ!」
ということだった。
キラーは私の首筋めがけてナイフを突き刺してくる。一緒にいるってことは私だってお前らのことが分かるということだ。
なんとなく読めている、が、躱したとしてもリリーの攻撃を食らう。
ならどうするか。一人仕留めるしかないだろう。
「ねえ、私って左手も使えるの」
私は左手で銃を抜き、そのまま眉間にぶち込んだ。
「あっぶねえ! 左手は予想外! 死ぬとこだった!」
「死んでないのかよ」
なんと危機一髪のところで躱されたらしい。
「早いとこ仕留めないと白露ちゃんにいけないよ…」
「わかってる! 焦るな!」
「…なるほど、私たちを一気に終わらせて総出でビャクロを潰すっていう作戦か。それなら私も作戦変更」
私はビャクロの近くに移動する。
「最初から2対4でやろうぜ?」
「3対6、よ。分断させるのが目的でしょうけどそうはさせるものですか」
心強い盾が来てくれた。
「よっしゃ! 集まってくれた!」
「だと思ってたよ。だからほいっと」
集まったら集まったでどうにかしてくるだろうと思っていた。
綿密な計画を立ててきてるはずなのだ。本気で倒しにくるということは不測の事態にも対応しなくてはいけなくて、あらゆる事態を想定しなくちゃいけない。
だからこそ集まってやったのだ。誘導させるために。
「甘い!」
タケミカヅチが庇う。
その隙を見逃さず、ビャクロは一気に距離を詰めてタケミカヅチに一発食らわせていた。ヒットアンドアウェイ。攻撃を食らわせたビャクロはこちらに戻ってくる。
私は魔道銃を撃ちまくる。
「範囲魔法をやるつもりだったんでしょ? だから魔法使いがあんな遠くにいるんだ。戦士が壁になるようにして。読めてんだよ」
「…読んでくると思ってたさ。だから」
「逆に攻撃してくる、でしょ?」
壁になるのを捨てることも予測していた。
だからこそ最初から魔法使いしか狙わないのだ。魔法使いのエリに気を取られて私が気を取られて死ぬというのを予定していたんだろう。
だが甘いさ。私は別に死んでもいい。
「まず一人」
エリがポリゴンとなって消えていく。
「……ほんとに予想外なことしかしてこないね。裏をかくことしかしない。でも、こちらも一人撃破だ」
「そうかな? 私はただじゃ終わらんよ?」
「それはこっちのセリフだよ」
と、タケミカヅチが私をガシっと掴んでくる。
ビャクロはそれが予想外だったのか突き放そうとしているが、がっしり掴まれていた。
「じゃ、俺と一緒にランデブーしようか」
と、タケミカヅチが笑う。
「ビャクロ! 離れろ!」
その瞬間、デカい爆発が起きたのだった。
私の意識はそこで途切れた。




