異常に不気味な奴
プレイヤー視点でした。
パンドラたちがボスとなっているということは皆に伝わっていた。
「魔王は遺産のありかを知って自分たちが守っているそうよ~」
というので、パンドラ、ワグマ、ビャクロが守っていることは皆理解していた。だがしかし、性能が発表され、みなは遺産が欲しい。特にものすごく強い遺産は。
だが、その強い遺産三つはきっとパンドラたちが守っている。作戦を立てていく人も多かった。
「パンドラのところはゲーム勝負。ビャクロのところはスポーツ勝負、ワグマのところは純粋なバトルだが…。バトルセンスはビャクロさんの方が上とはいえステータス面を見るとワグマさんのところが一番きつい。なかなか削れない」
とあるギルドメンバーの会議。
パンドラ、ワグマ、ビャクロ。この三人の誰を攻略したほうが早いか話していた。全員噂くらいしか知らなく、実力は体験したことはない。
「アル、お前頭いいしゲーマーだろ? パンドラの方が楽なんじゃないか?」
「パンドラ。パンドラか。挑戦してみてもいいかもな」
「お前なら行けるって! 全国模試三位だろ?」
「…じゃあやってみるわ」
というのでみんなパンドラのところに行くことになった。
パンドラのところに行くとカジノみたいな見た目になっている。
にっこりとほほ笑んできたね?とこちらに問いかける。空気がもはや違っていた。想像していたものではなく、とてもひんやりとした空気。得体のしれない不気味さ。アルというプレイヤーは恐怖を少し感じていた。
「私のところはゲーム勝負。好きなゲームを選んでよ。将棋、チェス。なんでもいいよ?」
「将棋で」
アルは迷いもなく将棋を選んだ。
アルの祖父はプロ棋士だ。その祖父から教えを受けていてプロになりうる腕前はあると自負している。だが、同時にプロ棋士は碌なもんじゃないということも祖父から言われている。
将棋盤が目の前に現れた。
「じゃ、ハンデはどうする? 飛車角落ち?」
「なくていい」
「お、男だね。じゃ、始めようか。先手どうぞ」
というのでまずは歩を動かそうとするが、なぜか知らないが嫌な予感がする。
冷や汗が出てくる。今感じている恐怖はなんだろう。なぜ俺は怯えているんだろう。アルの頭の中は自分の中の恐怖の正体を探っていた。
その恐怖はパーティーメンバーも感じ取っていた。
得体のしれない不気味さと恐怖。間違った選択をしたのだと彼らはその瞬間さとった。
だが、アルは折れない。恐怖にも負けず、駒を動かす。だが、嫌な予感は当たっていた。自分の方が有利な状況になっていたはずなのに、いつのまにか逆転されているではないか。
一体いつ? 気づかなかった。アルは戸惑いを隠せない。
「はい、王手」
と、王手をかけられた。王を動かしても無意味だ。
「ま、参りました」
頭を下げる。
自分は将棋はうまいという自信があった。が、負けてしまった。彼女は一体何者なんだろう。アルたちは遺産が管理されているダンジョンの前まで戻されてしまう。
「あれは……あの恐怖はなんだったんだ?」
「アル、対戦してみてどうだった?」
「……あれはいろいろと規格外すぎる。敵にしちゃダメっていう感じだね」
「顔は笑ってるけど目が笑ってなかったよ……こっわ」
四人は思った。
絶対敵に回したくない、と。




