ボスエネミー:パンドラ
私が銃をくるくるして遊んでいると、パーティーを組んできたであろう四人が私の目の前に現れる。
どうやらようやく来たらしい。私は立ちあがる。
「パンドラ! 遺産をもらう!」
「遺産? 遺産ねぇ。欲しいの? じゃああげるよ」
私は銃を撃った。
足下の地面にめり込む鉄の弾にびっくりしたのか、こちらを睨んでくる。私はそのまま銃を構えた。死守するには戦うしかない。
正直たぶん罠とかなんも張ってないのでアドリブ全開の戦いだからワグマ、ビャクロには劣る。ま、でも全力を尽くしますかね。
「ま、遺産を上げるのは私に勝ててからね。私に勝てないと使う資格ないからさ」
戦闘開始。
私はとりあえず銃をもう一丁取り出した。右手と左手に銃を構え、銃口をプレイヤーに向ける。そしてトリガーを引いた。
キインと金属を鳴らす音が聞こえる。剣ではじかれた。
私は今度別の方向に向けて弾を放つ。
プレイヤーの一人が剣を向けて突進してきた瞬間、プレイヤーが吹っ飛んでいった。
「な、なぜ!?」
「跳弾って言葉知ってる?」
「……?」
「一発目が跳弾しなかったのは予想外だったけど今回はちゃんと跳ねたね」
そして、倒れたプレイヤーに近づき脳天に二発ぐらい弾をぶち込んだ。
「さて、複数かかってきなよ」
「う、うわああああ!!」
私は今度数発銃弾をうつ。跳弾の角度はよし。意図的に狙ってるから計算が必要だけどこれで急所に当たるだろう。
私が放った弾は見事にプレイヤーに当たり、それぞれの急所に当たったらしく吹っ飛んでいった。
私はとどめを刺すために近づき、脳天にぶちこんだ。
とりあえず初戦は完封勝利を収めた。ただこればかりやると対策を組まれてしまう可能性があるが……。まあ、その時はその時だろう。
ま、臨機応変にやってみるのも悪くはなさそうだ。
絶望を与えることこそ私たちの役目。無理ゲー?んなもんしるか。
ささやかなんだけど、でも、抗いようもない絶望を、一片の希望ない虚無感を与えることが今回の私たちの仕事だ。
とりあえず初見殺しとかはしたいな。
水魔法は相変わらず使えるようだしそれはいいとして…。ボスとしての私か。普段の私よりちょっと弱くした方がいいかもしれない。
先読みは最低限。流石に先読みばっかりしてると誰も来なくなりそうだし、それだとゲームとしてツマラナイだろう。
絶望を振りまきつつ、ゲームとして面白くする。大変な条件だが、やりがいがある。これほどワクワクすることはあまりないよね。
私自身がボスキャラになること、私自身と渡り合えるやつらがいること。ちょっとわくわくが止まらない。




