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悪の魔王の作り方!  作者: 鳩胸 ぽっぽ
ささやかでありったけの絶望を君に
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月乃のコンプレックス

 イベント開始は三月の四日から十一日まで。つまり私の誕生日が最終日となるらしい。

 

「というわけで仕事したいなら白露。わかってるわよね?」

「うぐっ……」


 今現在、白露に言い聞かせていた。

 二月二十六日…つまり本日から四日間学年末テストがある。それで赤点を取ってしまえば仕事ができない。私と月乃は余裕だが、白露だけはきついのだ。先生からも赤点回避するように言われている。


「白露、私が本気出して詰め込ませたんだから大丈夫だ。自分を信じりゃいいさ。地頭は意外と悪くないんだから」


 スポーツのルールならすぐ覚えるからな。

 多分興味が一向に勉強の方にいかないだけで勉強にはまってしまえば満点とは言わずとも普通にいい点数は叩き出せるはず。

 まあ本人はつまらないと思ってるだろうしつまらないことに頭を使いたくないだけなんだろうけど。


「……わかった」


 そして、私たちはチャイムが鳴ったので席に座ったのだった。







 三月二日、結果が全部発表された。

 私は学年順位で言えば一位。全部満点で切り抜けた。月乃はどうやら39位。まあまあな結果といえるかもしれないが、ここは進学校、かつ学年で200人くらいいると思えばこの順位は高いほうだろう。


「……白露は多分172位くらいじゃないかなぁ」


 私は張り出されている順位表の後ろの方を追っていく。

 だが名前は一向に見当たらない。私自身白露の点数は聞いてないからわからない。ただ、白露の名前が後ろの方に見当たらないというのを見るに赤点は回避出来たっぽいが……。


「わ、私の名前がないぞ! いつもある位置に!」

「白露は普通下から数えたほうが早いからな…」

「赤点は回避できたみたいだけど……」


 ついに百位より下には名前が見つからなかった。

 もしや?と思い私は今度一位からさかのぼってみていくことにした。いやな予感がする。いやな予感っていうほど嫌ではないが月乃にとってはちょっと嫌かもしれないという予感が。


 その予感はなんと的中していた。


「球磨川 白露…なんと11位」

「……は?」

「え?」


 この結果はどちらも予想だにしてなかった。私もしてなかった。

 11位にはたしかに球磨川という苗字がある。球磨川という苗字はなかなか珍しいし、この学校には白露以外いない。

 つまり正真正銘白露が11位ということだ。


「はあああああ!? なんでよおおおお! なんで私が負けるのよおおおおおお!?」

「わ、私も自分でここまで採れたとは知らなかった…」

「いや、答案帰ってきてるだろ…」

「そうだが月乃よりとってるとは思ってなかったんだ」

「まあ、普段負けてるからな」


 私としてもここまで伸びるとは予測してなかった。

 たしかに私が本気を出して教えたのもあるかもしれないが……。


「これはパン子のおかげだな。あのスパルタな日々があったからだ」

「……パン子やりすぎよぉ。私の自信がどんどん崩壊していくじゃない」

「……まず私の勉強会行かないって言ったの月乃だよね?」


 怖そうだから嫌だといっていた。

 いや、本当に心を鬼にしてめっちゃくちゃ本気を出して教えてたんだけど……。白露曰く、もう受けたくないというぐらいには心を折ったらしい。


「もう嫌だ……」

「嫌ってあんたな……」

「……今日はもう帰るわ。その、現実感が薄くて」

「…メンタルケアはしっかりな。私が言うのもなんだけど」

「うん…」


 この結果は月乃から見ると結構きつい。

 月乃自身自分の何もなさにコンプレックスみたいなのを抱いている。白露より勉強ができる、私より運動ができるという勝るところがあったからまだ無事でいられたのかもしれない。でも、自分より運動も勉強もできてしまったら…耐えれなくなるのかもしれない。

 優位性が彼女が私たちと付き合えてた理由かもしれないが。


「これイベント大丈夫かな…。あと二日でケアできるほど月乃は楽観的じゃないしな」


 まあとりあえず私が言えることは頑張ればどうにかなる勉強はともかく運動の方は私は絶対無理だということをわかってほしいものだが。













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笑う門には福来る!
新作です。VRMMOものです。
読んでもらえると嬉しいです。
― 新着の感想 ―
[良い点] パン子達がボスか……なんかクリア出来なそう。 罠だけ設置するだけでも、とても難しくしてきそう、パン子が。 月乃が白霧に勉強で負けんなんて……パン子一体どんな勉強方法をしたんだよ、怖くて聞け…
[一言] 更新乙です! 詰め込みでランクアップした彼女は驚異ですが、其処は野生の勘的な何かが働いたのでしょうかね? そう言えばとある二次小説の話ですが、主にすら脳筋と言われてた女性武将がですね…
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