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悪の魔王の作り方!  作者: 鳩胸 ぽっぽ
甘い島と至福のひと時
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差別はしない主義なんだ

 バレンタインがやってきた。

 教室の空気は若干浮ついており、男子はちらちらと女子を見ている。私はため息をついて、教壇に立った。


「はい、お前ら義理チョコ。欲しいだろ?」

「はい! 欲しいです!」

「取りにこい。並べ」


 私は段ボールを教壇の上に出し、男子が列になってもらいはじめる。

 その様子に女子はちょっとだけ引いていたが、まあいいだろう。もらえない男子もこれでハッピーになれる。

 というか、このチョコ作るのに結構時間かかったし……。男子の人数分作ったからだと思うけど。


「ありがとうございますパン子様。これで今年もゼロという不名誉な記録はなくなりました」

「感謝するがいいぞ。ホワイトデー待ってるから」


 ま、今日ぐらいは夢見せてあげないとね。

 っていうか、今日テスト返すって先生が言ってたし。この前やった数学の抜き打ちテスト。あれめっちゃというほどではないけどなかなか難しそうな問題だったからこの後絶望しないように多少軽減されるといいが。


 そう思っていると先生が入ってきた。


「おーし、お前ら席つけよー」


 さて、地獄の始まりかな。

 私は席に着き、テストの結果を待っている。


「お前らすげえな。やっぱお前ら頭はいいんだな」

「頭いいってここ進学校ですよ? ったりまえじゃないですか」

「いや、スポーツ推薦のやつもいるからな。それほど取れてないと思ってたが平均点が脅威の90点だ。簡単すぎたか?」


 あれで簡単とかどう思ってるんだろう。


「ま、返していくぞ」


 というので返されていく。

 私は席が後方であり、出席番号順で返すのでほとんど後ろの方だ。夢野だから五十音でも後ろのほう。

 矢崎とか呼ばれて行き、私の番になった。私は答案を受け取ると百という数字が見える。ま、当然っちゃ当然か……。


「にしてもめっちゃ今回難しいと思ったのにみんな点取れてすごいな……」

「え? 簡単じゃなかったか?」

「これまず高校生で習わないような問題ばっかなんだけど……」

「え?」

「え?」


 なに、私がおかしいの?

 高校生で習わないような問題ばっか並ぶ私の答案。みんなは違うの? 私が知らないだけでみんな習ってんの?

 でも微分方程式とか絶対やらないだろ……。ベルンシュタインの定理とかも出てくるはずがないんだけど?


「あー、お前らと夢野の問題解釈が違うのは単に夢野だけ特別な問題だからな」

「ふぇ?」

「夢野だけ大学レベルの問題を出してみたんだ」

「おいこらクソ教師」


 そりゃ難しく感じるわ! ほんとに大学レベルの問題を出してんのかよ……。

 たしかに私の後ろの和田さんのを見せてもらうとたしかに高校レベルの問題だった。ベルンシュタインの定理とか一切でていない。

 バカだろ。お前馬鹿だろ……。なんで私だけ大学レベルなんだよ……。


「それでも満点なんだから誇れ」

「いくら私でもまだ高校生だぞ……。大学レベルをやらせるな……」

「お前、高校レベルなんかすぐ解いちゃうだろ。それじゃつまんねーなーっておもって。俺だって二つ答案作るの大変だったし、大学の数学なんて忘れてるから俺も大変だった」

「じゃあ作るなよ……」


 みんなと違う問題ってお前……。

 

「んじゃ、満点取れた奴にはご褒美をやるって話だったよな。満点取れたのは結構いる。満点取れたやつならべ!」

「あの、私だけ大学問題だったからご褒美もみんなより格上のですよね?」

「悪いな、差別はしない主義なんだ」

「おい、それはずるいだろ」

「さ、配るぞー」


 話を聞け。

















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笑う門には福来る!
新作です。VRMMOものです。
読んでもらえると嬉しいです。
― 新着の感想 ―
[一言] 更新乙です! パン子ちゃんの頭ん中は今更ですから置いとくとして、会話文読み限りですと全員赤点回避してる様にしか思えないんですけど、もしかして“あの”白露ちゃんも回避してるって事でしょうか…
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