表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪の魔王の作り方!  作者: 鳩胸 ぽっぽ
甘い島と至福のひと時
460/648

ヴァレンタインの感謝

 あのリンネからプレゼントされたのは蛇。名前はわからないが、でかい。

 その蛇が今私に向かって牙を剥いている。でかい口で飲み込もうとしているが、私はその蛇にむかってにらみつけるとビビったようで、勢いを失っていた。


 そしてすぐに。


「シャアア」


 と、私に猫なで声というか、従うようになった。恐怖で従えた感あるし、なんで私が睨んだだけで怯えるのかはよくわからない。

 ったく、なんなんだよ。


 それはそうとして、私はいま、金のクッキーを集めていた。


「ヴァレンタイン、今日は会えるかな」


 会えたらいいんだけど。

 たぶん私が黄泉の国に行ったと聞けば成仏というか、いなくなるはずなのだ。いや、わかんないけれど。

 でも、ヒントをくれていたということだし、誰かに行きついてほしかったんだろう。だから彷徨って襲っていたのだという推理だ。


 私は木を降りると歌が聞こえる。


「ヴァレンタイン、来たか」


 私は振り向かず、そういうのだった。

 歌はやまない。振り向いてはダメだから、振り向かずに言うしかない。


「ヴァレンタイン、私はこの島にある黄泉の国に行ったよ」


 というと、歌が止んだ。そして、ちょんちょんと肩を叩かれる。私は振り向くと、司祭の服をきたゾンビがいた。

 襲われない。振り向いてもよかったのだろうか。とりあえず証拠として私は蛇を召還する。


「シャアア!」

「……我が無念、果たしてくれたのか」

「ま、苦労したけどね。で、もう襲うことはないよね?」

「ああ……。黄泉の国がどういうところか知りたかったが殺された……。その無念を……ありがとう」

「ま、魔女以外いってはいけなかったらしいからね。殺されたのも仕方ない面もあるよ」


 そういうと、ゾンビは涙を流していた。


「そうか……。私は禁忌を犯そうと……」

「そもそもなんで黄泉の国に?」

「死んだ我が妹の魂がそこにあると思い込んでいた。だから目指した」


 妹の魂をどうするつもりだったのだろうか。


「あと一歩のところまで私は黄泉の国に近づいた。が、死んでしまった。だから夜な夜なこういう真似をしていた……」

「あれじゃ誰も気づけんよ……。そもそも黄泉の国があるってこと知らないんだから」

「黄泉の国目当てでこの島上陸するんじゃないのか?」

「いやいや、お菓子目当てで上陸するんだよ」


 私はクッキーを齧る。


「気づかなかった。いつの間にかお菓子だらけに…」

「いやいや、彷徨ってたんだから……」


 と、蛇も木になってるクッキーを食べていた。ぼろぼろと頭上に食べかすが落ちてくる。食い方汚いなおい。


「ま、何人か恐怖で動けないらしいからさ、そろそろ成仏してよ」

「悪かった。が、ありがとう。君のことは忘れないよ。お礼として私が持っていた武器を上げる。特別な武器さ」


 と、斧を残して消えていった。

 私は斧を拾いあげる。なんだか変わった斧だ。軽いけど、ものすごくなんか甘いにおいする。ペロッとなめてみるとチョコレートの斧だった。

 それもビターなチョコ。これ炎天下で溶けてなくなったりとかしないよな?


「……ま、これでヴァレンタインもいなくなったし大丈夫だろ。で、いつまであんたクッキー食べてんの?」

「シャアア」

「いや、特別なクッキーあげるじゃなくて……。って、金のクッキーだけ分けて食べてるのかよ。器用だなあんた……」


 金のクッキー数枚を手渡された。



















評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。


笑う門には福来る!
新作です。VRMMOものです。
読んでもらえると嬉しいです。
― 新着の感想 ―
[良い点] どっかの国の神話とかにもこんな感じのお話あったような気がする。 中のよかった夫婦がいました。 でも、奥さんは死んでしまいました。 夫はまだ奥さんと生きたくて、黄泉の国に言って、黄泉の国の王…
[一言] 更新乙です! たま~に(話題に)出てくるけど、もしかしてミソギさんもプレイしてます? だとすると此の幽霊騒動、かなりのレベルって事に成るんですが(混乱) 掲示板でも語られてましたが、…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ