ラーメンの泉
私は今何を見ているんだろう。
降り注ぐ麺。下の泉からは湯気が出ており、メンマなどが乗っている。ラーメンの滝……。スープには麺が浸かっており、試しに食べてみるとこりゃまた美味い。縮れ麺でスープが麺にまとわりついて……。
「美味しいですよね!? ラーメン屋さんに足をたくさん運んで味を研究したんです! 鶏ガラベースの出汁に……」
と、ラーメンについて語り始めた。
いや、うまい。うまいけど……チョコレー島っていうわりになんでこんなジャンクフード食ってんだろ。いや、うまいけど……。
麺をずるずる啜る。
「あの落ちてくる大木がメンマだよなあれ……」
「そうですよ! ラーメンにメンマはかかせませんね!」
こいつメンマ大好きだな?
たしかにメンマは竹だから木なんだけどさ……。いや、それはまあ別にいいんだけど。でもラーメンなら私はしょうゆよりみそのほうが好き。みそバターラーメンが一番好きで、ライスと餃子を頼んでラーメンセットだ。
しょうゆも美味しいんだけどね。
「で、このラーメンの泉の近くに……いました! 胡椒蝶ですよ! 鱗粉が胡椒なのでラーメンにかけるといいですよ!」
「いや、わりとマジでこの島なんなんだよ……」
というか鱗粉て。蝶の鱗粉をかけたくないんだけど。毒があるしな普通のだと。モンシロチョウとかでも触った手で目とか擦るといけないとかいうし普通に嫌なんだけど?
でもいうのでとりあえず胡椒蝶を真上で羽ばたかせ鱗粉を落とさせる。そしてラーメンをすするとたしかに胡椒がかかっている。かかっているんだけど……。
「私甘いもの食べたくて来たのになんでジャンクフード食ってんだろ……」
なんとなく悲しくなっていた。
私が一人ラーメンをすすっていると、後ろからプレイヤーが現れた。女性プレイヤーも唖然としており、私の方に気づくと指さして苦笑いしていた。
「ラーメンがありますね……」
「美味いですよ。チョコレー島っていう割になんでラーメンあるか知らないけど…」
「じゃ、じゃあいただきますね……」
彼女も近くにあった器の実にスープをいれ、麺をいれている。そして、ラーメンを啜っていた。
「美味しい、けど私チョコレートが食べたい……」
「チョコレートならスイーツエリアにいけばありますよ」
「なに!? あるのか!?」
「ここジャンクエリアであっちにいけばスイーツエリアがありますね」
「情報ありがとう!」
と、女性は豪快に麺を啜り、そして完食したと思うとすぐに立ち上がる。
「感謝するよ! フレンド申請しといたから! あとでこの礼はするー! ではな!」
と、嵐のように去っていった。
なんなんだと思いつつ、フレンド欄を見ると確かに申請が届いていた。このフレンド欄見るのは何気に初めてな気がしなくもない。基本私からワグマたちに送ったりしないし。
いや、何回かは開いてるけどそこまで詳しく見ないからな……。
「あ、食べ終わった器は回収いたしますよ」
「何から何までサービスがいいなおい。あ、でももう少しで時間だし小屋に戻ろうよ」
「戻りますか? わかりました」
「ちょっとそこでひと眠りするわ。結構長時間寝るから」
「はーい」
私たちは小屋に戻ることにした。




