お菓子の家に住む魔女は?
とりあえず帰ってチョコレートとかの素材を冷蔵庫に放り込み、私はまたログインした。
ログインするとケーキを食べて出来上がった洞窟が目に見えている。そういやチョコレー島でログアウトしたんだっけ……。ここはプレイヤー同士の戦闘ができないエリアらしいから安心しきってたか。いや、別にいいと思うけど。
「さーてーとー。まだこの島の全容見たわけじゃないからなー。行きたいけど……」
周りを見渡すと誘惑が多すぎる。
なんだこのお菓子の量。確実に太るぞ。だけどカロリーあるものが美味しいんだよな……。チーズダッカルビとか……。
カロリー=美味しいということだ。
「さてと、探検にいきますかね」
私は近くに生えていた酢昆布草をちぎり口に含む。うーむ、酸っぱい。
とりあえず山を越えよう。ケーキ山脈を上る……ことはしたくないからとりあえず喰い進めてトンネルでも作るか……?
だけどこの量食べるのはさすがにきつい。
「プリン山とゼリー山の間なら通れるかな」
ケーキはほとんどつながっている。
ただゼリーとプリンはつながっていない。隣にあるってだけでその間なら通れる気がするな。ということで行くことにした。
プリン山とゼリー山の間にいくとたしかに通れる隙間があった。人が二人くらい通れるような隙間。
私はプリンを食べてみる。
「うめえ」
甘い。食べるとちょっとしみだしてくるシロップはビターな味であり、プリンの甘さを抑えるようになっている。絶妙にマッチしててこれまた最高……。
ゼリーもぷるんぷるんしてて美味しそうだ……。
「これがバレンタインまであるんだもんな。ちょっとした天国じゃん」
と、喋っていると間を抜けた。すると目の前に看板があった。
書いてある内容は『←ジャンクエリア 未成年禁止エリア→』ということだ。未成年禁止となるとたぶんお酒だろうな。
お酒とお酒のつまみがあるエリア……。チョコレー島はスイーツだけじゃないらしい。
「未成年禁止エリア気になるけどジャンクエリアに行こう」
と、横を振り向くと何やら小屋があった。お菓子の家だ。
「あれ魔女いそうだな……。入ってみるか」
と、私は一人小屋を訪れることにした。
ヘンゼルとグレーテルではお菓子の家に住む魔女がいて……ぐらいしか内容が思い出せない。それほどまじめに読んでいたわけじゃないからな。
私はドアをノックする。ドアは堅いクッキーで、ちょっと小気味いい音を出していた。
「あのーすいませーん」
と、声をかけるとはいはーい!という声が聞こえてくる。
ん、どっかで聞いたことある声だな……。
と、ドアが開かれると、そこにはいつぞやの男爵令嬢がいた。なぜ?




