チョコレー島
久しぶりにログインすると、イベントが始まるという通知が届いていた。
「チョコ、チョコねえ」
幻の島、チョコレー島が現れたらしい。そのチョコを神が望むのでそれを使ってチョコを作ろうということだった。
女性限定のクエスト。男性可哀想……。ただ男性は男性でホワイトデーにあるということなので大丈夫なのかな?
「そういや、もうバレンタインか」
本来は女性がチョコを渡す日じゃなく、男性が花束を渡す日だし、バレンタイン司教の命日じゃなかったっけ……。
いや、まあ楽しければいいけど。
今年はどんなチョコを作ろうかなぁ。
友チョコは作るので私の友達に配っている。まあそんな数いないし……。今年からは武宮君のも作らないとなー。友達だし。
妹さんたちにも作ってあげよう。
「チョコレー島にいくかぁ」
一応女子だし……。
二月七日から二月十四日までチョコレー島は現れるらしい。
島内に入ってみたが、まあ甘ったるい匂い。そこら中からチョコレートなどのお菓子の匂いがする。チョコレートだけではなく、ビスケットの木やクッキーの地面などお菓子で出来た島だった。
私はビスケットの木から生えている果実を食べてみる。
「グミだこれ」
命名するならグ実という感じだろうか。
食感がグミそのものであり、イチゴ味だった。甘い。イチゴの酸味がちょっと強いが、美味しい。
「これいけるな」
現実で食べるなら太るだろうというお菓子のパラダイス。
ヘンゼルとグレーテルもびっくりだよ。お菓子の家とか本当にできそうで怖い。すると、空がだんだん曇っていく。雲はとても白く、綿菓子なんじゃないかと思うほど真っ白。いや、あれマジで綿菓子じゃね…?
すると、私の中にぽちゃんとなにかが降ってくる。
「おいおい、雨、じゃなくて飴が降ってくるのかよ……。お菓子の島だなほんとに……」
様々な色の飴が降ってきていた。
オレンジ色のはオレンジ、この白いのがわからない。私は白い飴玉を拾い、口に入れてみる。ああ、わかった。これハッカだ。好き嫌い分かれる味。私は好き。
「ここらに落ちてる飴もらおー」
実はというと私は飴玉が大の大好きで、結構舐めている。
家にはドロップが常備してあるぐらいだしな。飴が好物とかなかなかないと思う。でも好きなもんは好きだ。
「美味い。ハッカ飴超うまい」
口の中でコロコロ転がす。飴玉は口の中で転がしながら舐めるのが美味しい。ペロペロなめるのもいいが、コロコロ転がすのも悪くない。
至福……。現実で起きた嫌なことも忘れられる……。ここに永住したいよね。




