宝探しの終わり
その空間は真っ暗だった。
私一人が取り残されている。どこかのダンジョンだろうか。壁は石で出来ている。亜空間というわけじゃなさそうだ。
私が壁を手探りで進んでいると、ドアノブらしきものに手が引っかかる。
「中から微妙に光が漏れてるな」
私は扉を開けた。
すると、中にはたくさんの黄金があった。キラキラと光る黄金の山。目が眩しくなるほど光っており、どれも高そうなものばかりだ。
ほほう、これが創始者の秘密のお宝…。こんな数の財宝が眠っていたなんて……。
そして、いつの間にか私の後ろに三人が立っていた。
「先生! 無事だったのか!」
「あ、クロム。まあね。あいつは別に強くなかったし」
私がそう答えるが、彼ら彼女らの視線は宝のほうに向いていた。そして、クロムとグルツ、アイリーンが中に入っていく。
「すごいな! この宝の山は!」
「僕が鑑定するだけでもこの宝一つで一億はくだらないぞ……。それもこの数、尋常じゃない……! いったいどれほどため込んでいたんだ」
「煌びやか~! これだけあれば一生お金には困らないだろうね~」
三人はとても嬉々としていた。
「早く全部持って帰ろうぜ。だがこの量しばらく往復することになるだろうな」
「その点は心配ない。僕は収納魔法を持っている。全部はいるだろう。なにせ収納魔法は無尽蔵に入るまでには特訓しているからな」
「さすがだぜグルツ! だけど誤魔化すなよ? 俺らの取り分もあるんだからな?」
「ここで信用を無くす真似はするまい。さ、しまうぞ」
「待て、四個だけは残しておいてくれ。こんだけ光ってるんだからランプの代わりにするぞ」
グルツは収納魔法にどんどん財宝をしまっていく。
そして、宝が四個手元に残されたのだった。それぞれが片手に宝を持つ。
「先生もよく勝てたね~。っていうか、先生入ってきても私たちに気づかず先行っちゃうし」
「出入り口のところにいたの?」
「先生の様子を少し経ったら見に行こうと思ってたんだよ。だから待機してたんだ。でも先生入ってくるや否や俺らに気づかないでいっちまうし」
「だから後をつけたんだ。というか、さっさと出てしまおう。刺された脇腹が痛い」
未だに血がにじんでいるグルツ。
毒とか塗られてなくてよかったなというところか。
「この宝はどこの商会でも買い取れないものだろう。換金はどうする?」
「国にでも売れば?」
「俺はこのまま売って爵位でももらうぜ。グルツは……」
「無論、商会の資産としたいから現金でもらうつもりだ」
「私は別にお金あるし~。使い道がないんだよねー」
各々が使いたいように使うらしい。
「先生はどう使うんだ?」
「私?」
私はなー。
「別にもう個人資産で数億稼いでいるし別にいらないんだよね」
「……先生そんなに稼いでいるのか?」
「ま、金なんていくらでも稼げるからね。私の取り分分けていいよ」
「それはダメな相談だ先生。先生がいたからこそ宝が手に入ったのだ。対価はもらわなくてはならないぞ」
「そうだな。あの創始者だと俺らじゃ勝てなかったかもしれないし先生ももらうべきだぜ」
「さんせー!」
というので、私の分もあるらしい。
でもできるなら現実のほうでお金が欲しいな……。




